海外文学セレクション<br> エディに別れを告げて

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海外文学セレクション
エディに別れを告げて

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  • サイズ B6判/ページ数 246p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784488016579
  • NDC分類 953
  • Cコード C0097

出版社内容情報

子供の頃に、楽しい思い出はまったくない。この時代に、幸福や喜びの感情を経験したことがないというつもりはない。ただ、痛みがすべてを支配しているから、そこに収まらないものは消されてしまうのだ――フランスのエリート青年エドゥアール・ルイが自らの少年時代を赤裸々に綴った衝撃の私小説。差別主義と力が支配する貧しい村で、同性愛者としての自分に、壮絶ないじめに、貧困に苦しみ、すべてを捨てて、そこから脱出した! 訳者あとがき=高橋啓

内容説明

北フランスの貧しい工場地帯、男たちが力で支配する、強いことだけが価値を持つその世界で、女の子のような少年エディは異分子だった。壮絶ないじめと暴力、同性愛体験…。差別主義の標的となり、苦しい日々を送った彼は逃亡を決意した。家族を捨て、貧しい村を捨て、奇妙な名前(エディ・ベルグル)を捨てた彼は高等師範へと進み、エドゥアール・ルイと名前を変え、同性愛者であるインテリ青年となった。現代の現実世界の出来事とは、にわかには信じがたいほどの貧困の実態、想像を超える差別主義―性差別、人種差別、同性愛差別―そのすべてを赤裸々に語り、自身の半生をつづった衝撃の物語。

著者等紹介

ルイ,エドゥアール[ルイ,エドゥアール] [Louis,´Edouard]
1992年10月、フランス、ソンム県生まれ。現在、22歳(刊行時は21時)で、高等師範(エコール・ノルマル・シュペリユール)の学生。哲学と社会学を学ぶ。パリ在住。『エディに別れを告げて』は小説第一作だが、この前に「ピエール・ブルデュー論」がすでに刊行されている。また現在、在学中にもかかわらず、フランス大学出版局(PUF)で叢書の編集責任者となっている

高橋啓[タカハシケイ]
1953年北海道生まれ。翻訳家。早稲田大学文学部卒業(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ナミのママ

49
フランス、現在22歳の若者の回想記。故郷と家族を捨て名前も変える。…彼が育った街、そこには根深い貧困と、あらゆる差別(性・人種・同性愛)があります。職業の選択肢がなく、何代も繰り返される貧困の連鎖、暴力、アルコール。生まれながらに「女性的」なエディは、自分に悩み、もてあまし、受け入れられず、もがきながら10代を送ります。内容はエキセントリックで「いつの時代か?」と思うのですが、淡々と綴られています。静かなだけにその生活が、姿が、情景が目に浮かび、しばし異国の別世界を訪問した気分です。脱出できた彼に拍手です2015/08/19

アイアイ

16
人口千人にも満たない、フランス北部の工場地帯の貧困と暴力が巣食う村で、女っぽい少年エディは「ペデ」と壮絶なイジメを受ける。 初体験は納屋でいとことアナルセックス。女の胸は膿にしか見えず恐ろしいが、フェイクで無理やり女と付き合う苦しみ。 貧困の家族や親せきの話が主で、故郷の村の激しい人種差別や同性愛者への弾圧を世に知らしめた一冊。 父さんは子猫潰して殺すし、母さんも流産を生々しく語るし、そりゃ家族から逃げたくなるわな。▽図書館2016/02/17

帽子を編みます

4
衝撃的な話です。でも、あり得る話です。知的で、繊細で、そして性的アイデンティティーに混乱を抱えた少年ががさつで、残酷な世界に傷つき、悩み、知性を武器として新たな世界へ旅立つ話です。 フランスという国が持つイメージ、おしゃれで、先進的、寛容、特に愛に関して自由。いえいえ、場所によっては、頑迷で、排他的、男くささ至上…。でも、今の日本だって「読書する暇あったら家のことやれ」「大学で勉強するより就職して家に金を入れろ」普通にあるんです…。2020/04/08

ひろゆき

4
日本でいえば高校入学あたりまでを描いた私小説。学校の成績のことは書かれていないが、高等師範学校在学中にブルデュー論を上梓しかつこの小説を書いて売れたというのだから、フランス人によくある早熟。フランスド田舎の家族含めた描写が凄まじい。貧困、差別、恐ろしやフランス。ブルデュー研究者らしい観察眼。同性愛者でありのままに「女としての」初体験を記述。一方で「男としての」体験も。父母のことも含め終始、露骨に、相手のある秘密を暴露しており、強烈な憎しみは分かるのだが、一切、相手へのいたわりはなく、殺伐。それをどうみるか2016/10/17

chonta

3
貧しい家庭に育った同性愛者の作者が進学を機にフランスの田舎町を飛び出すまでを綴った私小説。「子供の頃に、楽しい思い出はまったくない」という冒頭から一気に引き込まれた。70年代か80年代の話だと思いながら読んでいたので、現代の話だと知ってびっくり。閉鎖的な村社会のなかで同性愛者の彼が受け入れられるはずもなく、逃げ出すしかなかったというのはわかるし、正解だと思うけど、両親との関係にもやもやしてしまうのは、やっぱり自分が親の方の世代だからか。年月を経てどう変わっていくのか(あるいは変わらないのか)、知りたい。2015/04/20

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