海外文学セレクション
トーイン―クアルンゲの牛捕り

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  • サイズ B6判/ページ数 359p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784488016517
  • NDC分類 993.2
  • Cコード C0097

出版社内容情報

女王メーヴ率いる三国連合軍。迎え撃つは弱冠十七歳の英雄クー・フリンただひとり。アイルランドのイリアスと言われる伝説の書を詩人カーソンが語った、血湧き肉躍る英雄譚。

内容説明

アイルランドはコナハト国の女王メーヴが夫と交わした寝物語がすべてのはじまりだった。王と女王の財産比べ。互いに一歩も譲らなかったが、唯一、王の白い角を持つ雄牛フィンヴェナハに匹敵するものが女王にはなかった。フィンヴェナハに勝るのはアルスター国クアルンゲの褐色の雄牛のみ。女王は、クアルンゲの雄牛を奪うべく、アイルランド全土から大軍勢を召集、アルスターの地に迫った。ところが迎え撃つアルスター国では、呪いのせいで男たちは戦うことができず、弱冠十七歳の美丈夫クー・フリンが、大軍を相手に孤軍奮闘することに…古代アイルランドの伝説を、詩人キアラン・カーソンが語りなおした、血湧き肉躍る英雄譚。

著者等紹介

カーソン,キアラン[カーソン,キアラン][Carson,Ciaran]
1948年、北アイルランド、ベルファスト生まれの詩人・作家。ウィスキーを愛し、伝統音楽家としてフルートを演奏し、英語とアイルランド語の伝統歌謡も達者である。ノーベル文学賞を受けたシェイマス・ヒーニーに続く世代を代表する詩人。エリック・グレゴリー賞、アイリッシュ・タイムズ文学賞、T・S・エリオット賞など数々の賞を受けている。詩集・小説はもとより、ダンテの『地獄篇』の英訳やアイルランド語文学の古典的作品の英訳もある

栩木伸明[トチギノブアキ]
1958年、東京に生まれる。1987年、上智大学大学院文学研究科英文学専攻博士後期課程単位取得退学。早稲田大学教授。専攻は現代アイルランド文学・文化(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

syaori

46
ケルト神話のアルスター物語群のうち最長・最重要の物語を作者が現代英語に翻訳したものの翻訳。コナハトの女王メーヴが夫の牛に匹敵する牛を求めて起こしたアルスター出兵の顛末が語られます。槍が体を貫通したまま歩き、首だけになっても警告を続ける男たち。クー・フリンをはじめ豪胆で時に残虐な戦士たちの戦いぶりに心躍らないわけがありません。コナハトに身を寄せていても故郷アルスターへの愛着を捨てられないフェルグスや美しく酷薄なメーヴなどの登場人物たちも魅力的で、彼らが織り成す野蛮で奔放で生命力に溢れた物語を堪能しました。2017/03/17

星落秋風五丈原

24
最強戦士クーフリンに挑戦した者やとばっちりを受けて死んだ人の最期の場所にはその人にちなんだ名前がつく。いくら後世に残ってもそんな名前の残し方絶対にイヤ。妙技の中には「大胆鮭跳躍の妙技」「歴戦の戦車の御者だけに許された後退回転」「槍のてっぺん棒立ちの妙技」など「一体どこで使うんだそれ」と言いたくなるものも混じっている。原文で読んだ方が語呂も視覚もきっと良い。日本語で書き起こすと「首首首」「死体死体死体」と連続して言葉が並び「デトロイト・メタル・シティのクラウザーさんに挑戦?」と思える文言になってしまう。2015/05/09

em

17
原典は古アイルランド語で書かれたもので、アイルランド神話の英雄、クー・フリンとメーヴ女王のお話。何人分もの敵の拳をいっせいに切り落とす、体を薄切りにして切り刻む、はねた頭をふりまわし、頭蓋から脳髄を飛び散らせる……といった異様に詳細かつ生々しい描写がきわだっています。光の神の息子であり、超人的なクー・フリンの身体能力がこれでもかと示され、目の前に映像化されるかのような強烈さ。牛にまつわる地名起源説話には、著者が他の作品で取り上げていた、ギリシア神話のイオを思い出したりもしました。2018/08/31

きりぱい

11
他愛ない寝物語が壮大な殺戮戦を引き起こす古代アイルランドの英雄譚。求むは一頭の雄牛。それも背中で五十人の若者が試合出来る牛って一体!想像力のタガが外れる世界が展開。おまけにアイルランド連合軍を一人で迎え討つ英雄クー・フリンは、普段でも怖いのに、スーパークー・フリンみたいに戦闘力アップしたらもっと怖い!〈ガイ・ボルガ〉なんて想像したらお尻が浮きそう!あり得ないスプラッタ活写で、血沸き肉躍るが地でいっているのに不思議とカラッとユーモラス。ちょうど神話が何でもありの世界で受け入れてしまうように。楽しみました。2012/02/22

rinakko

9
古代アイルランドの英雄譚。とても面白く、興味深く読んだ。コナハト国の女王メーヴと王アリルの財産比べが発端となった“牛捕り”の戦。アルスター国の最強の英雄にして狂戦士クー・フリンの活躍を中心に描く、長大な物語。アイルランド神話の世界を心ゆくまで堪能した。付録の内容も充実していて、隣接する別の物語の片鱗に触れられるのもよかった。また、ロスク(美辞麗句)という様式で、登場人物たちが詩の吟唱で応酬する箇所や、誇張表現が募って法螺話になっていく場面に、惹き付けられた。神話ならではの楽しさと驚きが、無尽に広がっている2011/12/26

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