海外文学セレクション
楽園への疾走

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  • サイズ B6判/ページ数 314p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784488016470
  • NDC分類 933
  • Cコード C0097

内容説明

「アホウドリを救え…!いますぐ核実験をやめろ…!」十六歳の少年ニールは、どういうわけかタヒチ沖に浮かぶサン・エスプリ島でのデモに参加していた。運動の中心となるドクター・バーバラ、四十代の精力的な女医に無性に惹きつけられてしまったせいだ。初めはごく普通の環境保護運動だった。だが、島に居座る彼らに世界中の注目が集まったときから、なにかが少しずつ狂いはじめた。現代の予言者バラードが贈る問題作。

著者等紹介

バラード,J.G.[バラード,J.G.][Ballard,James Graham]
1930年上海生まれ。46年に英国に移住。56年にSF専門誌で短編デビュー、62年に処女長編『狂風世界』を発表。それまでアイデア重視だったSFの世界に、文芸的洗練、思弁性や実験的構成を導入し、その後のSF小説に大きな影響を与えた。こうした潮流は「ニューウェーヴ」と呼ばれる。代表作は英国SF協会賞を受賞した『夢幻会社』(東京創元社)など

増田まもる[マスダマモル]
1949年宮城県生まれ。早稲田大学文学部中退。英米文学翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

藤月はな(灯れ松明の火)

66
最初はバーバラの事は「自分より弱い存在を作った上で自分の善意を成そうとし、自分の思い通りにいかないとヒステリーを起こす、偽善者によくいるタイプ」と思っていた。しかし、男子が排除され、生存率を高く、保てる女子が支配権を持ち始めた時、この物語は『アンチ・クライスト』と同じなんじゃないかと気づく。何故なら、逃げ回っていたニックがパンに手を出そうとした時、怒り狂って殺そうとする女性陣に私は共感してしまったからだ。一度は夫、父親、男兄弟、異性に対して介護、家事、仕事などで殺意めいた怒りを持った女は引っ掛かると思う。2016/08/01

ちぃ

17
ちょっと熱入りすぎな環境保護活動家、の、皮をかぶったバーバラのサイコパスっぷりがやばい、、ちょっと理解を超えている。。それでも彼女に特別な感情を持ち続ける主人公。バラードにとって女ってどんな存在だったんだろ。。「ハイライズ」「太陽の帝国」に続いてバラード作品3作目だけど、戦争体験が彼にとってどれだけ強い影響を及ぼしたのかと改めて感じてしまう。2022/12/17

スターライト

8
環境保護活動がいつの間にか女性指導者による悪夢のような惨劇に変わっていくが、彼女を盲目的に信じる少年は彼女の片腕となってその悪夢の具現化に手を貸していく…。狂信的な「理想」が暴走化していくさまには、あさま山荘事件を想起させるところがあり、暗澹たる気持ちになった。タイトルに「楽園」とかかげておきながら、実態はその逆を描くところにバラードの人の悪さ(笑)を感じる。執拗に現れるアホウドリが印象的。彼らの眼には、この環境保護活動がどう映ったのだろうか。2011/09/15

ガクガク

6
楽園ってバーバラだけの特別な狂気の「楽園」だったのね。学生時代に読んだ『結晶世界』を再読したくなった。2013/01/01

takao

4
ふむ2024/04/29

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