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海外文学セレクション
ミスター・ミー

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  • サイズ B6判/ページ数 281p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784488016463
  • NDC分類 933
  • Cコード C0097

内容説明

浄書で糊口をしのぐ十八世紀のふたりの男、フェランとミナールと謎めいた原稿の物語、ルソー専門のフランス文学教授が教え子への恋情を綴った手記、老人ミスター・ミーのインターネット奮闘記、この三つの物語のそれぞれがロジエの『百科全書』を軸に縒り合わされ、結ばれ、エッシャー的円環がそこに生まれる。

著者等紹介

クルミー,アンドルー[クルミー,アンドルー][Crumey,Andrew]
1961年、スコットランド、グラスゴー生まれ。セント・アンドリューズ大学で理論物理学と数学を学び首席で卒業。ロンドンのインペリアル・カレッジで理論物理学博士号を取得。大学研究員、高校教師を経て、1994年、“Music,in a Foreign Language”で作家としてデビュー。スコットランド文化振興財団ソルタイアの最優秀処女作品賞を受賞。『ミスター・ミー』でアーツ・カウンシル・ライターズ・アワード受賞

青木純子[アオキジュンコ]
1954年、東京に生まれる。早稲田大学大学院博士課程満期退学。文芸翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

榊原 香織

114
文学界のエッシャーと言われているそうな。スコットランドの人。 謎の百科事典を巡るスラップスティックな群像劇。ルソーのパロディ兼プルーストへのオマージュ。2024/08/14

藤月はな(灯れ松明の火)

51
ロジエの『百科全書』を探すためにパソコンを導入したミスター・ミー。ところがパソコンは全裸で顔を隠して本を読む女の生放送でフリーズ!そこに女性の読むフェランとミナールの話、教え子と恋人関係になりたいルソー研究家の話が絡み合うと・・・?それにしてもミー氏は80代で若い女の子と懇ろになったり、セフレで家政婦のマダムBに想われ続けているのに気づかない鈍感さに呆れる。そしてヒュームをヒステリックに批判して学界を追放処分されたルソーが理性的犯罪者と言われている事とミー氏がヒュームを尊敬する理由が繋がった時は納得。2016/08/20

syaori

44
表紙の折り返しに「エッシャー的」とあったのですが、まさに言い得て妙。最初に18世紀に書かれたロジエの『百科全書』を探す老人の物語があって、そのロジエらしき人から『百科全書』の原稿を預ったフェランとミナールの珍道中があって、ルソーの『告白』に数行登場するそのフェランたちの論文を書いた教授の物語があって…。物語は『百科全書』を追うというよりも、饒舌で滑稽で少し物悲しい3つの物語が少しずつ絡まりながら進み、収集がつくのか心配していた着地点もお見事。エッシャーの『昼と夜』を眺めるような不思議な混乱を味わえました。2017/10/13

rinakko

11
再読。すこぶる面白い。ルソー『告白』を読んだからには…と引っ張り出した次第で、『告白』が未読だった初読時とは読み応えが全然違う! タイトルには、“必ずしも〈わたし自身〉ではない〈わたし〉と称する人物”の意も込められているらしい。ルソーの次に言及が多いのがプルーストで、彼らの書いた物は回想録ではない、空想の産物として読まれるべきなのに…などと〈わたし〉は説く。あと、書き手不明のフェランとミナール物語(と、ロジエ『百科全書』のチンプンカンプンな原稿)、書痴老人がネットと性の扉を開けるも今一つ…という顛末と2017/08/18

ネロリ

10
3つの合わせ鏡のような話は、それぞれが補いあい、次の話への推進力を持つ。読み進める中で蓄積されるwwwや確率論などのキーワードが記憶を刺激して、よくある伏線と回収のような感覚をもたらすところが、嫌らしいなぁと思う。フェランとミナールの話ならずっと読んでいたい。彼らの仲直りのシーンが好きだ。お爺ちゃんの天然については、時に疑わしいと思ってしまうのは厳しすぎるだろうか?この本を読み終えると、ちょっとルソーを知った気になる錯覚が面白い。楽しかった。もっとコメディが読みたくなった。2012/08/17

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