内容説明
彼は道の向こうを指さした。その先を追うと、男の子が信号の柱にもたれている。「あの赤いシャツの?」「ああ。クリントンだ」おれはにやっとした。「十五歳ぐらいのガキだぜ」「わかってる」え?子供のころ太って冴えなくて成績もCだった彼を、ひたすら護ってくれたワルガキのクリントン。それがあそこにいる子?二十年も前の話じゃ…ある人間たちを結びつける“絆”。その邪悪な真実と永遠の絶望を描く表題作など、『パニックの手』に続く短編集第二弾、全九編。
彼は道の向こうを指さした。その先を追うと、男の子が信号の柱にもたれている。「あの赤いシャツの?」「ああ。クリントンだ」おれはにやっとした。「十五歳ぐらいのガキだぜ」「わかってる」え?子供のころ太って冴えなくて成績もCだった彼を、ひたすら護ってくれたワルガキのクリントン。それがあそこにいる子?二十年も前の話じゃ…ある人間たちを結びつける“絆”。その邪悪な真実と永遠の絶望を描く表題作など、『パニックの手』に続く短編集第二弾、全九編。