海外文学セレクション<br> 若き日の哀しみ

海外文学セレクション
若き日の哀しみ

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  • サイズ B6判/ページ数 167p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784488016074
  • NDC分類 989.23
  • Cコード C0097

内容説明

ダニロ・キシュの美しい連作短編。

目次

秋になって、風が吹きはじめると
マロニエの通り
遊び
略奪
顔が赤くなる話
セレナード、アンナのために
野原、秋
婚約者
陽の当たる城
野原〔ほか〕

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

どんぐり

30
キシュは家族の史実を文学に昇華させた旧ユーゴスラヴィアの作家。この作品群は、少年アンディをとおして、若き日の記憶に刻まれた永遠の故郷が描かれている。『ビロードのアルバム』では、強制収容所に送られ帰らぬ人となった父について、かつて僕というものが存在した、かつて父が存在したことの唯一の物的証拠である写真と身分証明書の入った「歴史的なトランク」を子供時代の持参金として大切にし、骨壺におさめられた灰のように悲しい遺品が眠っていると語る。訳者は、ベオグラード在住で『そこから青い闇がささやき』の山崎佳代子さん。2014/03/01

funuu

20
四匹の子猫を大事にしながらも、やがて石で1時間かかって打ち殺す。ナチの時代、チトーの時代、クロアチアの民族浄化。ヨーロッパの民族の坩堝等を背景にした少年時代。どの国にも、それぞの少年時代がある。そして、その国と時代が少年を洗脳する。金氏、トランプ少年も少年時代があった。2017/04/30

おおた

15
秋に読んで哀愁にどっぷり浸りたい、自伝的短編集。ユーゴスラビアで生まれ、幼いときに父をゲシュタポに連行されたダニロ・キシュの抱えた幼少期の喜びと悲しみがセピア色のフィルムで上映されているよう。最愛の犬との別れ「少年と犬」は帯で煽られた分、差し引いてしまうところがある。しかし、ささやかで貧しい日常をひとつひとつ宝石箱から取り出して見せてくれる文章は、読者すべてに普遍的な郷愁を呼び起こすだろう。2012/08/18

rinakko

12
さみしくて沁みて、とてもよかった。何より文章が好きだ。マロニエの実、菫色の瓶、林檎の木、セレナードをささげられる乙女、サーカス団がいた気配、野生の白ツメクサの香り、少年の言葉を理解する犬ディンゴ…。えも言われぬ抒情に浸り、秋の草原を吹き抜ける風を思わせる、どこか乾いた郷愁に包まれるひと時だった。少年を取り巻く現実の厳しさが垣間見える度、胸がきゅっと締めつけられる。こんな境遇で育つ少年は、大人になるのも早いだろう。半ズボンをはいた想像力豊かな少年の時間は、短い。他ならぬその儚さが、この作品の耀きだとしても。2012/11/14

吟遊

10
なんとも言えない叙情…。哀しみが基調にあることはわかるが、物語はそこにフォーカスしない。あくまで少年の感じやすい心が日々のことがらに動かされる様子を描く。ノスタルジーという意味でのロマン主義はあるが、戦争と、子どもの視点と、すでに19世紀的ではない。2016/02/20

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