内容説明
1917年1月のある日曜日、戦場で5人のフランス兵の身に何が起きたのか。死んだ5人のうち最年少者の婚約者だったマチルドは、真実を知るために動き出す。そこでは、いったい何があったというのか。生存者がいるらしいという噂は本当なのか。隠された真実の断片がパズルのように組み合わされていく見事さ、複雑に絡んだ人間模様がしだいにほぐれていく驚き、鬼才ジャプリゾが満を持して放つ傑作。アンテラリエ賞受賞。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Mark.jr
4
Jean-Pierre Jaunet監督の映画版は(好きな映画です)、監督らしいブラックユーモアと風刺がありましたが。この原作の方が、映画の作風とそこまでかけ離れておらずユーモラスなことに、実は結構驚きました。「シンデレラの罠」と同じ作者とはちょっと思えないというか。それでも、あえて違いをいうなら、本書は映画と比べて戦争文学の色が濃く、悲惨な疲弊感が伝わってくるものになってます。しかし、どちらも良い作品なのは間違いないです。2024/07/08
no6
0
戦場で処刑されたとされる婚約者を探す主人公の女性。ものを調べるということが今よりもずっと大変な時代に、不自由な身体にも関わらずそれを成し遂げる彼女の執念と行動力といったら。その結果、婚約者のみならず、ともに処刑されたとされる兵士たちやその周辺の人々についても明らかになることになり、それぞれの物語がまた深い。戦争は、戦死した者よりも、生き残った人にとってこそ重たいのだなとあらためて思う。2012/12/17