Key library
人間の消失・小説の変貌

  • ただいまウェブストアではご注文を受け付けておりません。
  • サイズ B6判/ページ数 286p/高さ 19cm
  • 商品コード 9784488015275
  • NDC分類 910.26
  • Cコード C0095

内容説明

小説、評論、共に精力的に活動を続ける著者が、鋭い感性で時代を代表する作品群を読み解く。『容疑者Xの献身』など話題のミステリのみならず、『1Q84』『グロテスク』など幅広く文芸作品を扱い、さらにドラマ、アニメ、コミックにいたるまで、ジャンルをまたいで論じることで遷りゆく時代を浮彫りにした、力作時評集。

目次

序 決断と不能―村上春樹『1Q84』
作品と魔性―柄澤齊『ロンド』
義体と洗脳―相田裕『GUNSLINGER GIRL』
階級と絶対―桐野夏生『グロテスク』
転向と空虚―矢作俊彦『ららら科學の子』
推理と社会―米澤穂信『さよなら妖精』
制作と創造―神林長平『膚の下』
障壁と情熱―ユン・ソクホ『冬のソナタ』
好色と空白―藤田宜永『恋しい女』
鏡像と分身―法月綸太郎『生首に聞いてみろ』
名前と認証―北山猛邦『「ギロチン城」殺人事件』
夢想と成熟―新海誠『雲のむこう、約束の場所』
頽廃と暴力―村上龍『半島を出よ』
結束と驚異―麻耶雄嵩『神様ゲーム』
悪霊と知能―瀬名秀明『デカルトの密室』
勝者と敗者―東野圭吾『容疑者Xの献身』
成長と失効―志水辰夫『うしろ姿』
本格と論理―道尾秀介『骸の爪』
犯罪と処罰―辻村深月『ぼくのメジャースプーン』
怪異と推理―三津田信三『凶鳥の如き忌むもの』
解釈と強度―恩田陸『中庭の出来事』
自然と環境―東浩紀『ゲーム的リアリズムの誕生』
文学と前衛―筒井康隆『巨船ベラス・レトラス』
片説と小説―佐藤友哉『1000の小説とバックベアード』
収穫と終焉―西澤保彦『収穫祭』

著者等紹介

笠井潔[カサイキヨシ]
1948年東京生まれ。79年にデビュー作『バイバイ、エンジェル』で第6回角川小説賞を受賞。以降『サマー・アポカリプス』『薔薇の女』他、矢吹駆を主人公としたシリーズなど数多くの小説を発表する傍ら、精力的な評論活動を展開。98年『本格ミステリの現在』編纂で第51回日本推理作家協会賞受賞。2003年の第3回本格ミステリ大賞では『オイディプス症候群』で小説部門を、『探偵小説論序説』で評論・研究部門をダブル受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ぐうぐう

7
笠井潔の評論と笠井潔の小説は、密接な関係性にある。小説が評論の実践としてあるのだ。そういう観点から、自身の論考や説を物語化する作家である瀬名秀明の『デカルトの密室』を笠井が高く評価するのは、よく理解できる。ただ本書は、人間の時代だった19世紀を経て、人形の時代となった20世紀、そしてもはや人形である自覚をもなくした新世紀の小説を論じるだけに留まらず、作家の無意識を照らし出す批評が作家に刺激を与え、さらなるレベルの小説の出現が今度は批評家を刺激するという、理想の関係性を求めている。(つづく)2010/03/22

たなと

1
名前と認証――北山猛邦『「ギロチン城」殺人事件』のみ読了。2012/10/07

naoya_fujita

1
作品論から社会論・人間論・小説論へと駆け上がるスリリングな作品論。特に後半のテンションが高い。2009/11/24

あんすこむたん

0
中心は文学作品を論じているが、漫画やアニメ(「GUNSLINGER GIRL」や「雲のむこう、約束の場所」)も論じているのが特徴。作品から現代を読み解いていくスタイルが気に入りました。特に東野圭吾の「容疑者Xの献身」についてはツィッターでの発言では知っていたものの更に詳しく理由が分かり、なるほどと思った次第。2012/10/16

アレ

0
容疑者X論は名文2012/04/18

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/552904
  • ご注意事項

最近チェックした商品