内容説明
廃屋の暖炉を抜けて灯火管制下のイギリスへ少年は跳んだ。見知らぬ世界で味わう苦難と孤独。なにより戦災孤児の少女メイとの忘れられない三日間が始まる。ある少年の心の成長を見つめる痛くて、切ない珠玉の物語。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェルナーの日記
270
本作は児童文学の中でもヤングアダルトに属する物語に分類できるだろうか。主人公はローテェーンの少年タン。彼は両親が離婚し母親と一緒に住んでいる。父親はすでに再婚おり、相手の女性も再婚らしく連れ子がいる。そんな境遇にタンは、母親を憎み父親を恨んだ。自暴自棄気味になった彼は様々な問題を起こす。そんなある日、すでに無人と化した農場の廃屋にもう何年も使われていない暖炉があって、とある事情でその中へ潜ってしまった。するとそこは”ダイアゴンにょこ町”だった(嘘です!!)。そこは過去のまだ人が住んでいたころの農家だった。2017/09/03
KI
25
すべてが救われる訳じゃない。でも、救われたと思って笑いたいときだってあるのさ。2020/04/12
本の蟲
11
両親の離婚にわりきれない思いを抱える少年タム。家出した夜に出会った浮浪者の老婆と犬に導かれるようにして、近所の廃農場の暖炉跡から、第二次大戦中の世界に迷い込んでしまう。そこで出会った少女メイと交流を深めるが…。タイムスリップものの児童書だが、ありがちなハッピーエンドではない。BTTF展開もない。悲惨な現実を真っ向から描いたなかなかハードな結末。しかし少年の心の成長と変化により、ほんのわずかな救いが見える。そんな話2023/09/18
けいちゃっぷ
4
涙腺がゆるいので、こういう小説は苦手なんだよね。かと言って諸手を挙げて「傑作」とまでは言い切れないが。166ページ2010/05/17
竜
2
何とも切ない微妙な読後感。タムの成長物語として読むべきなのかな。2021/09/23