内容説明
ザトウクジラたちは、緑の光の記憶に包まれて生まれ、やがて「光のわだつみ」へと召されてゆく…。のちに群れの長となるザトウクジラのフルナが回想する若き日々。母親の巨体の陰に守られて育った赤ん坊のころ。幼なじみのローテと遊んだ記憶。畏怖に満ちた父親との対面。そして、長老から聞かされた神秘の物語…。やがてフルナにも、成年期の〈孤独な巡航〉に旅だつ日がやってきた。途途であう仲間たちは、イルカ、カモメ、アホウドリ、ラッコ。だが、人間だけは…。詩人としても有名な著者が、哀調を帯びた鳴き声で〈歌うクジラ〉として知られるザトウクジラを主人公に据えて、ファンタスティックにつづる、海の民たちと大自然への賛歌。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
書庫の番人
6
ザトウクジラの雄が主人公で、その視点から見る人間の表現が面白かった(*´ー`*)少し風景が思い描きにくいけど、それは人間視点だから仕方ないね。イメージするクジラとはまた違った部分が見られたから良かった♪2016/05/14
山積み
2
ザトウクジラが書いた本。 水深によって変わる水の色のグラデーション、陸上の花や果物の魅惑の香り、オキアミの味、他のクジラや生き物達との戯れ、一人旅の孤独と自由、海上の嵐と海底の静けさ、月の光や輝く波の美しさ、静謐さ、クジラとして歌う喜び等などをザトウクジラさんが語ってくれます。読んでて泳いでるみたいで気持ちいい。でものんびり楽しく泳いでいられるのは子どもの時だけ。海は、地球は、危険がいっぱい。2018/07/15
Mr.M
2
世界の広さを垣間見れる作品でした。舞台は確かに地球で、自分も知っているような海ですが、上手く言葉を操って、生命全体の営みのようなものを、読者の目の前に提示しています。 他の動物からして見れば、自分たち人間はどう見えているのか。それを知ると、なにか特定の動物を保護しようとする運動が、ひどくいびつなものに見えてきます。 なにかを守ろうとするのは、彼らから見れば気まぐれに捕まえる対象を変えているだけなのかもしれません。私たちは気まぐれな虐殺者なのでしょうか? 面白い作品である以上に、為になる作品です。 2011/12/19
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