内容説明
中世、異端、「ヨハネの黙示録」、暗号、アリストテレース、博物誌、記号論、ミステリ…そして何より、読書のあらゆる楽しみが、ここにはある。全世界を熱狂させた、文学史上の事件ともいうべき問題の書。伊・ストレーガ賞、仏・メディシス賞受賞。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
585
訳者の河島英昭氏が解説で、本書には現代イタリアの姿もまた透けて見えると指摘する。碩学の氏の言であるから、首肯するしかないのだが、私には本書が徹底して中世の思惟に身を置くことによって成立したように思える。人は誰しもその時代と環境の中で思考することを免れない。ところが、エーコはここであらゆる意味において中世の教養人の目で世界を見、再構築しているのではないか。それを可能にしたのが、彼の恐るべきと言うまでに該博な知識と、そして何よりも類稀な想像力であった。なお、物語の終結は、我々をも絶望的な喪失感に立ち会わせる。2016/03/14
遥かなる想い
167
全世界で大評判となり、しかも1991年度海外部門第一位のこの本を私は楽しめなかった。とにかく話がわかりにくく結局真犯人は判明したが そこに至る推理過程がよくわからなかった。キリスト教における異端裁判の恐怖らしきものは感じ取れたが、エーコは何を描こうとしたのだろうか。記号論理の大家らしいが、私は理解できなかった。 2013/05/05
れみ
131
中世イタリアの修道院が舞台のお話、後編。たくさん難解なところはあったけど、閉鎖的な場所で次々起こる殺人事件の真相…っていうのが普段の自分の読書傾向からすれば一番興味のあるところであったし、そういう筋があることでなんとか読み進められたのかな。人がたくさん集まるとそこには否応なしに上下関係とか権力や権威が生まれて富も集まるから、こういう争いは生まれてしまうものなのかもしれず、自分と違うものを理解しなくても違うことを受け入れるだけでいいんだと言っても、そう言って放っておいたら自分たちの地位が脅かされる日が→2018/09/15
absinthe
123
教会で起こる修道士の論争は、そのまま現代に残された哲学論争でもあります。知識の迷宮と化した現代の大学の在り方や学問の在り方への批判なども見られ、読むほどに奥深さに驚かされます。 厚みのある教養と知識が読者に襲いかかってきますが、若手の教師にありそうな「ここに板書した範囲は来週までに暗記して来い!」みたいなのりはなく、優しい老教授が「覚えられるだけ覚えてきなさい。あまり無理せんでな。」といってくれるような印象で、押し付けがましい感じはしません。 生涯ベストの一つです。
まえぞう
115
ルネサンスの光が遠くに見えてもおかしくない頃、中世の守り人が近代の芽をつむための行動が、中世の宝物とともに滅びていった、という感想をもちました。異端の議論が、アリウス派を異端としたニケーア公会議のころとは違って軽い感じを受けましたが、エーコの神学論議は読みごたえがありますね。でも、私には、キリスト教をめぐるお話しは入っていくのが難しいようです。2019/01/20
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