淑やかな悪夢―英米女流怪談集

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  • サイズ B6判/ページ数 238p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784488013134
  • NDC分類 933
  • Cコード C0097

内容説明

怪奇小説の真髄は短篇にあり、醍醐味はその語り口にある―一瞬の怪異も鮮やかなアスキス女史の佳品を筆頭に、狂気と超自然のあわいを描いたギルマンの逸品など、通にして手練の三人が選り抜いた、悠揚迫らざる古典女流の十二篇。趣向を凝らした怪談噺の数々、恐怖の愉しみに舌鼓をうたれんことを―。

著者等紹介

アスキス,シンシア[Asquith,Cynthia Mary Evelyn Charteris]
ウィームズ伯の娘、英国首相ハーバード・アスキスの次男と結婚。父も夫も著述家である。『ピーターパン』でお馴染みのJ・M・バリーの秘書を永く勤める。バリーの思い出を綴った回顧録A Portrait of J.M.Barrie(1954)や第一次大戦の私的記録、児童文学などによって今に名が留められているが、怪奇小説のエンスージアストにとってはもちろんこの分野を語る際には言及を欠かすことのできない名アンソロジストとしての顔のほうがお馴染みである。アスキスは七冊ほど怪奇小説のアンソロジーを上梓しているが、ことに初期のものの評価は高く、文壇における広範な交友関係を利用して原稿を諸家に依頼し、マッケンなどごく一部の作品を除いては書き下ろしであるのが特徴である。書き下ろしアンソロジーが優れたものになる確率は相当に低いと思うのだが、いかなる恩寵ゆえかアスキスの集は圧倒的に高い質を誇っている。彼女のアンソロジーが初出となる作品にはロバート・エイクマンの「鳴り響く鐘の町」、E・ボウエンの「猫は跳ぶ」、ヒュー・ウォルポールの「ラント夫人」、ティンパーリーの「クリスマスの出会い」などがあって、とにかくそのほとんどが傑作と呼ばれうる質を備えているのは驚きである。怪奇小説のアンソロジストとしてはまず間違いなく五本の指に入る人物であろう。また、各アンソロジーには必ず自作を一篇収録していて、それらの作品はThis Mortal Coilのタイトルで1947年にアーカム・ハウスから上梓されている。作品の傾向としては、ヴィクトリア朝以来の女性作家の伝統に従ったかのような、しごく穏和なゴースト・ストーリーが多い。平井呈一訳すところの「角店」は怪奇小説のファンならば好きにならずにはいられないような後味の好い作品である。「追われる女」には或いは典拠があるのかもしれない。しかし効果的な舞台設定で手際よくまとめたところはアスキスの手柄であろう
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

KAZOO

114
19世紀から20世紀初頭にかけての欧米の女流作家の短編を12集めた作品集です。どれも読んでいてさらりと読めてしまいますが結構怖いものもあります。小泉八雲や芥川龍之介を思いおこせるものもあったり多種多様で楽しめました。とくに最後の訳者3人(倉阪鬼一郎、南條竹則、西崎憲)による対談集が楽しいもので、怪奇小説傑作集を再読したくなりました。2019/04/02

帽子を編みます

63
英米女流怪談集、古典女流の12篇。どうしましょう、あまり怖く感じませんでした。幽霊よりも生きている人の方が嫌で憎々しく感じます。「名誉の幽霊」主人公は会話にトゲがあってカチンとさせるタイプでは、これでは幽霊にもひどい対応をされるでしょう。私なら如才なく応対して早めに退散してもらうか、「今、○○とおっしゃいました?古語の活用形でしょうか、もう一度お願い出来ますか?」などとツッコミ入れてメモをとっているかもしれません。一番怖いのは「黄色い壁紙」、私には狂気、精神疾患が悪化していく状態を描いたものにしか思え 続2022/10/17

annzuhime

48
島外の図書館から取り寄せ。馴染みの司書さんに海外のホラーを探していると言ったら、こちらを取り寄せてくれていたので読みました。古めかしい雰囲気がまたゾワゾワする怖さ。日本の怖さとはまた違った怖さ。日本のホラーの方が私には怖いので。「追われる女」は王道だけど嫌いじゃない。「黄色い壁紙」が怖かった。2022/08/16

ニミッツクラス

33
【日本の夏は、やっぱり怪談】〈其の二・洋編〉00年(平成12年)の税抜1900円の創元単行本初版。06年に同社文庫化。翻訳三氏(倉阪、南條、西崎氏)編訳による英米女流作家の怪談12編を収録。表題で顕した通り、血も凍る怪奇譚よりも淑やかな(エレガントな)作品をチョイス。各扉の著者紹介からウォントリストを作り始めるとシニアには残り時間が足りない事が判る(泣 ボウエンは二人いたのか!(本書はマージョリー)。気になるのはヘロン母子の“心霊探偵フラックスマン・ロー”物だ…これ、一冊にしてくれないかなぁ。★★★★☆☆2024/08/05

メイ&まー

21
女性作家による怪談や幽霊話ばかり集めた一冊。表紙からして不気味〜。中でも、黄色い壁紙、がやたらと怖いというので楽しみにしていた。読み始めて、…ううん?ああこれは…、確かに怖かった。。ホラーって理不尽なところが嫌だけれど、怪談における理屈のつかない恐怖とか、そういうのが一等怖い、ということなのかあ…と納得する。作品前についてる訳者による作者紹介や豆知識も面白い。巻末のセンセイたちによる座談会がまたマニアックすぎて笑える。2014/12/03

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