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出版社内容情報
戦前に翻訳・翻案された〈ウィアード・テールズ〉初出のホラー短編を、当時の文章のままアンソロジー化し、各編にも詳細な歴史的解説を付す。研究書+アンソロジー。
内容説明
戦前の日本では、現在ほどではないにせよ相当な早さで海外の小説が翻訳紹介されていた。完全訳は少なく、豊かな翻案的作品が大衆小説誌の誌上を飾っていた。本書は、そのような戦前に紹介された作品のなかから、アメリカの著名な怪奇小説専門誌「ウィアード・テールズ」に発表されたホラー短編の秀作怪作を選り抜き、当時の文章のまま現代によみがえらせたものである。各編ごとに詳細な解説を付し、巻末には日本への「ウィアード・テールズ」掲載作の移入状況を俯瞰する論考を収めた。
著者等紹介
会津信吾[アイズシンゴ]
1959年東京生まれ。駒沢大学経済学部卒。少年小説、犯罪、映画など明治から昭和初期にかけての日本の大衆文化、社会風俗の研究・評論を中心に活躍
藤元直樹[フジモトナオキ]
1965年京都生まれ。京都府立大学文学部卒。東京大学人文社会系研究科文化資源学研究専攻博士課程満期退学。文化資源学会会員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
藤月はな(灯れ松明の火)
46
著作権が緩かった時代、日本の作家は海外のB級小説雑誌とも言えるパルプ・マガジンから勝手に翻訳していたという。これは多く、散逸してしまった物語を書評、<ウィアード・テールズ>研究と共に編纂したものである。日本風に訳したものと原作との乖離が激しいものもありますが、怖さはピカイチ。特に最初の「深夜の自動車」での最後の客を女性にしたことで醸し出される恐怖感は凄い。しかし、「白手の黒奴」の白人の腕を移植しても白人達から「その心根は白人のように綺麗になりはすまい」と揶揄される黒人の姿は時代だとしても切なくなります。2014/11/06
HANA
42
伝説の雑誌『ウィアード・テールズ』の中から、戦前に邦訳された作品を紹介。複数の邦訳がある場合はよりゲテモノ度が高い方を優先的に取る。という編集姿勢が素晴らしい。流石にマニア心理をよくわかっている。内容はパルプフィクションらしい珍作怪作の塊で訳者が手を加えた為より一層混沌としているものもあり、その手の物がお好きな人にはたまらない内容となっている。万人にお勧めできないのが残念。HPLもC・A・スミスも収録されていないものの、ダーレスとロングは収録されている。作品改題も詳しく、これだけでも読み応えは十分だった。2013/03/03
空猫
26
[ウィアード・テールズ]とは1920年頃の米国の怪奇小説専門誌だそう。これは戦前に邦訳されたアンソロジー。甲賀三郎,大関花子サンが翻訳した作品も!その内容はB級ホラーだけれどラヴクラフトやブラッドベリも寄稿したという伝説誌。小説はともかく(!?)、原書を無許可で翻訳出版(新青年等に掲載)しただけでなく、勝手に改変したり削除していたなど、解説が楽しめる本。意訳は仕方ないかもしれないが掲載頁の都合で一部削除や舞台を日本に,登場人物を日本人にはズッコケた。マニア受けだが当時の様子がわかる貴重な一冊。2017/05/11
すけきよ
16
戦前に邦訳された、アメリカの怪奇小説専門誌『ウイアード・テールズ』掲載短篇のみのアンソロジー。それらを当時の訳文のまま収録し、詳細な解説を載せるといった、このジャンルではあまり類を見ない作り。当時は抄訳や翻案が多く、単に舞台が日本に置き換えられたものから、ラストの改変をした作品まである。それが色んな意味で良い味になっている。日本に置き換えたことによっておどろおどろしさが増しているものもあれば、訳文のせいなのか、海外が舞台のままなのに、妙に和の匂いがしたり(笑)個人的には、キ印博士が出てきた時点で百億満点。2013/03/08
ntahima
14
【Kindle-198(Unlimited)】標準タイム8時間38分。伝説の米国B級怪奇小説専門誌〈Weird Tales〉に発表されたホラー短編の秀作怪作を選り抜き、これ又伝説の〈新青年〉などに翻訳、超訳された当時の文章のまま掲載したうえで、著者来歴、誤訳、原作改変箇所などについて解説を付けたもの。幻想・怪奇ファン垂涎の企画!但し、Weird Tales掲載作は玉石混交なので、一冊目の怪奇小説集としては余りお勧めできない。月並みだが、やっぱり『怪奇小説傑作集1~5』(創元推理文庫)あたりから始めるべき。2017/12/10