内容説明
下宿屋の主人から家出娘の捜索を頼まれた坂口安吾は、行方を捜すうち殺人事件に遭遇する。殺害されたのは酒造業を営む紅家の婿養子で、現場は雪に囲まれ、一種の密室状況を呈していた。“お家さん”と呼ばれる寝たきりの老婆と個性的な三姉妹が暮らす、十何代も続く女系一族の紅酒造で勃発した奇怪な連続殺人。犯人は一族の者か、酒蔵に集う杜氏か。凶行前に現れた片腕の男の正体は。国税庁の役人の事故死は紅家の惨劇と関係があるのか。雪降り積もる戦前の京都を舞台に、坂口安吾と鉄管小僧が挑む。著者が新境地を拓いた意欲的な長編本格推理。
著者等紹介
野崎六助[ノザキロクスケ]
1947年東京生まれ。多岐に亙る評論活動を展開し、92年には『北米探偵小説論』で第45回日本推理作家協会賞を受賞。また94年には『夕焼け探偵帖』で小説家としてもデビュー
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感想・レビュー
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Syo
29
なかなか。 みんなが嘘をついてる。 って、これがホントかも。2021/06/05
えも
17
伏見の造り酒屋で起こる連続殺人に坂口安吾と小学生の小僧が挑む、という探偵小説。人物が錯綜しているし思わせぶりな台詞が多く、謎解きは早々に諦め、戦後間もない京都の風情に浸っておりました■安吾はボサボサな感じが探偵らしくていいね。2014/07/23
藤月はな(灯れ松明の火)
13
横溝正史ばりの愛憎入り混じるミステリーでありながら登場人物が生き生きしていて素敵でした。満州の影の帝王でもある甘粕一彦などの登場も驚きました。ある惑わす「女」の性を持つ女を憎悪する安吾が男である自分の肉欲の業に苦しむ姿は女の身体である私から見ても痛々しく、だからこそ、堕落論が生まれたのかと思えるほどでした。「酒は女だ」という言葉に対して成人して日本酒を呑むことがまた、一つ、楽しみになりました。2012/03/11
nac
2
★★★⭐︎2022/09/24
枝
2
なかなか楽しめた。 戦前の京都って舞台も良かったし小僧さんと先生のコンビも楽しめた。 2011/07/04
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