内容説明
戦前に上海の租界でイギリス人のためにつくられた、時代を経たもの特有の品格を漂わせる安楽椅子。骨董屋の店先から小学生・及川衛の家にやって来たその椅子が、あろうことか口をきいた!?しかもこの椅子、口を開いた途端シャーロック・ホームズばりの推理を披露し始めて―。紳士的な(?)安楽椅子と衛の交流、そして彼らが出合うさまざまな謎。謎解きの面白さと柔らかなユーモアが楽しめる、これぞ正真正銘の「安楽椅子探偵の事件簿」。
著者等紹介
松尾由美[マツオユミ]
金沢市生まれ。お茶の水女子大学文教育学部卒。1989年『異次元カフェテラス』を刊行し、91年には「バルーン・タウンの殺人」がハヤカワSFコンテストに入選
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
☆よいこ
80
児童書。子供向けミステリー。2003年刊。意識を持ち言葉を喋る「椅子」アーチーが、小学生5年生の及川衛(おいかわまもる)と一緒に謎を解き明かす。[首なし宇宙人の謎]優等生のナップザックを切り取り✕の縫い取りをした犯人は誰?[クリスマスの靴の謎]父親が拾った靴の踵に隠された花の押し花。[外人墓地幽霊事件]資料館の密室で消えた女性。掲示板の暗号[緑のひじ掛け椅子の謎]アーチーの元所有者はスパイ?アーチーの過去を記した小説家に連絡すると、衛の周りに不審な老人達が現れた。▽面白かった。割と読みごたえある。2021/08/22
とも
39
★★★★全4編の連作短篇集。前3つまでは、対しておもしろみもスリルもない短篇だが、最後の1編で改めてこの作品が連作であることを思い知らされる。そうして、全ての謎が解けたときに心地よい収束感に浸れること間違いなし。2017/07/11
anne@灯れ松明の火
28
大崎梢さんの「めぐりんと私。」に出てきて、気になり、予約。松尾さん、アンソロジー以外は初読み。 小学校5年生の及川衛がゲーム機を買うためのお金で買ったのは、アンティークの安楽椅子。もちろん、ただの椅子ではない。物を言う椅子で、推理力抜群なのだ。名前の通り、椅子自体が名探偵という、ありそうでなかった設定(笑) ミステリー好きのクラスメイト・野山芙紗も一緒に、日常の謎を解く。2021/06/04
糸巻
17
小学五年の衛は誕生日の小遣いで近所の骨董屋で出会った不思議な肘掛け椅子を手に入れる。なんとその椅子お喋りをする不思議な椅子なのだ。戦前の上海で作られたと言うその椅子は衛が持ち込む日常の謎を論理的にさらっと解決してくれる、まさに安楽椅子探偵。四話収録の連作短編集。ミステリー好きな同級生の女の子も仲間入りして一脚と二人は謎解きを楽しむ。小学生が主人公なのでジュブナイル寄りだが、椅子の背景なんかは興味深い。最終話が冒険譚のようでワクワクしながら読んだ。2019/12/02
深青
17
面白い探偵登場です。安楽椅子探偵ものの探偵がホントに椅子!すんごい面白い発想だと思う。ワトソン役が普通の小学生の衛くん。お話も良かったけれど、二人のやり取りも好き。良かった!椅子と人間だし、すんごい歳も離れているけど、いい関係だなぁって思うのね。今後の二人の活躍も楽しみです。2015/04/01