内容説明
昭和十八年、大戦の劣勢が次第に深まりつつある頃、探偵小説界の巨匠・天城俊策は“ペンの従軍”を拒んだために執筆の機会を全て失った。俊策は食い繋ぐために嫁の明子、孫の佳樹と小夜子を連れて名古屋へ転居することを決意。佳樹はその地で旧友・五百村と再会、また小夜子も隣家の娘・瑠璃子と仲良くなり、彼らは穏やかな日々を過ごせるかに見えた。しかし俊策が知人の選挙応援に関わったことから一家の周囲には不穏な空気が立ちこめるようになり、やがてひとつの悲痛な死が彼らを襲った―隻腕の青年刑事・五百村は敢然と謎に立ち向かう!戦時下の名古屋を舞台に、大地震・大空襲などの天災人災に翻弄されながらも、必死に生き抜こうとする青年たちの姿を活写した、著者渾身の青春本格推理。巻末に「作品見本棚」収録。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
なめこ
2
作者のツイートがバズってたので興味を持った。刊行当時で古希とあとがきにあり、いま八十八?九?はぁー…めちゃくちゃおもしろかった。戦時中の人々の暮らし、学徒動員、疎開、空襲。その中で起こる地震と、選挙戦と一人の刺殺。細かな細かな伏線が至ってフェアに張り巡らされ、最後にざばっと回収されて、ほんわかエンドに至る。天使とは、悪魔とは誰だったのか。好きな作家が一人増えた。あとがきは名古屋論。戦禍も震災も都市計画のことも知らなかったけど、森博嗣は好き。小酒井不木つぎに読む。2020/12/30
琥珀
0
戦時下の青春小説として、大量の辻作品の中でもとりわけ忘れられない一作。名古屋大空襲の最中に犯人と隻腕の青年刑事が対峙するクライマックスが素晴らしい!2008/12/02
慧
0
★★2001/02/28
depo
0
図書館リサイクル本。戦時下の名古屋を舞台にした推理小説。昭和19年12月に起こったマグニチュード7・9の東南海大地震、数度に渡ってあった米軍による名古屋爆撃の下、殺人事件が発生する。2024/03/27
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