内容説明
木乃家の長男・秋人が八年ぶりに帰郷を果たした。大怪我を負ったという顔は一面包帯で覆われている。その二日後、全く同じ外見をした“包帯男”が到着、我こそは秋人なりと主張する。二人のいずれが本物ならんという騒動の渦中に飛び込んだ大川戸孝平は、車のトラブルで足止めを食い、数日を木乃家で過ごすこととなった。日頃は人跡稀な山中の邸に続発する椿事。ついには死体の処理を手伝いさえした大川戸は、一連の出来事を手記に綴る。後日この手記を読んだ進藤啓作は、不可解な要素の組み合わせを説明づける「真相」を求めて、ひとり北辺の邸に赴く。
著者等紹介
佐々木俊介[ササキシュンスケ]
1967年9月27日、青森市生まれ。専修大学文学部国文科卒業。1995年、“スリーピング・マーダー”テーマの本格ミステリ『繭の夏』を第六回鮎川哲也賞に投じ、佳作入選を果たす
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感想・レビュー
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雪紫
44
再読。古き良き探偵小説な雰囲気は抜群。2021/11/23
そうたそ
22
★★☆☆☆ 古き良きミステリを思わせる設定・ストーリーに期待がわいたものの、ストーリーにいまいち面白味がない。ラストまで読者を引っ張っていく何かが足りない気がする。文体も無味乾燥だからかなあ。ミステリ的な技巧に目を向けると、読むべきものはあるかと思うが、それだけではやはり歴史に埋もれていくんだなあ、と。2018/04/24
koo
3
読み友さんの感想を見て読みました。メインプロットは前例もありますが僅か250ページに纏めるのが素晴らしい、まさに「こういうのでいいんだよ」と満足できる本格でした、作者が寡作なのが残念。ただ筆致がこてこての昭和ののりなのに舞台は現代なのはやはり違和感ありまくりですね、解説の千街晶之も指摘してましたが過去の事件の回想とできるのにあえて現代としたのは何故なんでしょう(笑)2022/01/30
おふねやぎっちらこ
2
最初は読みにくいなぁと感じてあまり進まなかったが、大川戸氏の手記が終了してから展開が面白くなり一気読み。このミス、文春のベストテンにランク外なのは納得いかんなぁ。2024/01/06
秋芳
1
懐古調とでも言うべき、レトロかつクラシックな雰囲気を持つ一冊。 登場人物には感情移入しにくく、物語の展開もやや平板な印象を受ける。また、読みやすさという観点からは、厳しい評価を受ける作品ではあるが、それらを補って余りある「雰囲気」が良い。 ミステリとしても、トリックはなかなかに良くできていて、読ませる。ただ、個人的にタイトルについては少々疑問。もう少し気の利いたタイトルを付けたら良かったのではないかと・・・。2006/09/20