出版社内容情報
貧困層が多く暮らすパリ郊外の巨大団地。この地区で警官が小競り合いの末、住民を射殺するという事件が起きた。「警官による差別的な虐殺」との報道から、移民に共感を寄せる市民は警察に抗議、移民や貧困にあえぐ住民たちは、復讐心から過激な暴力に走り、その機に乗じたテロリストも加わり、暴動やテロはフランス全土に広がる。大統領も首相も殺害され、ライフラインは麻痺、他国の援助も得られぬまま国家が崩壊していく三日間を描いた最悪の近未来小説!
ローラン・オベルトーヌ[ローラン・オベルトーヌ]
著・文・その他
臼井美子[ウスイヨシコ]
翻訳
1 ~ 1件/全1件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
yumiko
70
あまりの衝撃に感想となる言葉がなかなか浮かんでこない。扇情的な副題もそのまま、ある事件をきっかけに内部から崩壊していくフランス。その恐るべき三日間が描かれたフィクションだ。リアルだと感じること自体が差別意識なのか…日本人には所詮高みの見物に過ぎないのか…正直まだ混乱して頭の中はぐちゃぐちゃ。少数派と多数派、アイデンティティやイデオロギーの対立と考えれば、今やどこの国でも起こりえる。もう世界は後戻りのできないところまで来ているのかもしれないと言いようのない無力感にも襲われる。やはり考えはまとまらない。2018/10/05
HANA
64
パリ郊外の団地、小競り合いの末に警官が移民を射殺、それは大きなうねりの始まりに過ぎなかった。『服従』のパニックホラー版のような感じで、物事が悪い方に悪い方に転がっていくのがステキ。全体的に反リベラリズムが鼻につくけど、騒動の各地を切り取った点景のような手法は物語に引き込む力が強く一気に読まさされる。やはり本書や『服従』、欧州各地で起きた様々な出来事の記事を読むと、向こうでは理想と現実の隔絶というか様々な問題が起きているのを実感させられるな。本書の内容は大げさながら、紛れもなく現実を切り取った一冊であろう。2018/08/17
ヘラジカ
35
壮絶。複数の視点から同時進行的に、怒濤の如く押し寄せる崩壊の波をドキュメンタリータッチで描写した終末ホラー(としか言えない)小説。ウエルベックの『服従』、サンサルの『2084』、そしてこの『ゲリラ』。こうした作品が生まれ続けるフランスという国の現状を真剣に考えざるを得ない。果たして国家瓦解への過程が現実的かどうかは、フランスの内情をよく知らない私には分からないが、個々人の日和見主義やジャーナリストの在り方はとてもリアリティがあるように感じる。理想と博愛主義が行きすぎてバランスを欠いた世界の崩壊。2018/08/02
GOTI
5
☆☆結末が明確でなかったので、結局何を言いたいのかが分かりませんでした。「バンリュー」なるリュック・ベッソン制作の映画の舞台でもある移民地区からの救援要請の電話で駆けつけた警官と若者の小競り合いで警官1名、若者6名が死亡。これを発端にマスメディアの過激な報道もあって暴動に発展する。無軌道な虐殺、陵辱、略奪がフランス全土に拡大し、無政府状態に陥る。題名の「ゲリラ」ってなに?最終行に出てくるけど意味不明でした。2018/10/07
だけど松本
2
訳者あとがきに、現実に今にも起こり得る話だという声があがったって書いてあるけど、フランスに住んでない自分にはピンと来なくて、現実に起こり得るって・・・移民ってそんなに白人や大統領を憎んでるの?って。あと、これだけ登場人物が多いのは皆殺すために登場させてるんですね、っていう勢いで殺していくくせに、残りページ少なくなってから、母親と赤ちゃんを生かしたまま旦那と再会させたり、大佐が少女を蘇生させたり・・・とってつけたようなことしても希望も何もないんですが突然なんですか?って感じ。ラストも全然意味わからん。2020/02/14