出版社内容情報
妻は末期癌、夫はアルツハイマーの老夫婦。これ以上の治療は望まず、自分の死後の夫の身を案じている妻が下した決断は、愛用のキャンピングカーで2人、かつて子供たちを連れて旅したルート66をたどる旅に出ることだった。運転する夫の記憶は突然戻ったり、消え去ったり。 二人は愛し合い、強盗に対峙し、そして……! 無駄のない、ひねりのきいた文章の軽快な老人ロードノベルだが最後の最後で人生を、夫婦を考えさせる傑作。2018年1月26日より原作映画公開予定。
内容説明
老夫婦ジョンとエラが、思い出のつまったキャンピングカーでたどるのはふたりの人生の軌跡。
著者等紹介
ザドゥリアン,マイケル[ザドゥリアン,マイケル] [Zadoorian,Michael]
ミシガン州デトロイト生まれ。長編第一作は2000年の“Second Hand”。現在は妻と二人でミシガン州に暮らす(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
chiru
87
素敵な表紙以上に素晴らしい物語。ヘレンミレンとドナルドサザーランド主演で映画化された原作本。末期癌の妻と認知症を患う夫の高齢夫婦が、人生の最期に廃道ルート66を旅するお話。1行目からすぐ、ふたりが愛おしくてたまらなくなる。鎮痛剤で紛らわす波乱含みの旅も、会話や喧嘩も、最期に交わす愛も、すべて。もし人生を本とするなら、終章も自分で描いていいはず。ふたりの旅の終点に、泣きたいのに、優しい気持ちになった。それは、相対的な満足や幸せと、正反対の本物の幸福がそこにあるから。本棚に置いて何度も読み返したい本。 ★52019/02/17
ゆきち
76
がん治療中のエラと認知症の夫ジョンの老夫婦は子どもたちの反対を無視し、かつて一家で旅をしたキャンピングカーで懐かしいディズニーランドを目指し、ルート66でアメリカ大陸横断の旅に出た。エラの語り口調で進む物語。夫のジョンは運転はできるものの妻のエラのことも思い出したり、誰だかわからず苛立ち暴言を投げかけたり…。人生の終わりの旅はゆったりでもあり、あらゆることも起こる。昔のジョンに戻ったときのエラに向ける笑顔がなんだか切ない。結末についてどう感じたかは語ることは難しいため心の中で噛み締めたい。読んで良かった。2021/09/03
はる
69
妻は末期癌、夫はアルツハイマーの老夫婦が、愛用のキャンピングカーでかつて旅したルート66をたどる旅に出る…。愛すべき老人ロードノベル。語り手は妻のエラ。飾らないさばさばとした言葉のせいで、深刻になり過ぎず、ユーモアが漂います。お互い罵り合うかと思えば、ラブラブになったりして微笑ましい。自分だったらどうするか、ふと考えてしまいます。それにしても、アメリカ人って年をとってもこんなにジャンクな食生活なの?2018/02/14
ぶんこ
47
読書中我が夫婦二人の生活を省みて、エラとジョンの最期が理想的に思える。末期ガンになって、しかも80歳代だったらと考えると、私も放射線治療や食事療法なんかいらない。好きに生きる。エラの頑張りに勇気をもらった気持ちにもなりました。また「ルート66」のテレビドラマを観ていたので、あの主題歌が脳内をこだまし、寂れ果てた古い道路になっていたり、アメリカ大陸横断が意外と殺伐としているのにショックを受けました。定年後はキャンピングカーで日本一周を夢見ていただけに、日本ならもっとのんびり温泉を楽しんだりと充実しそう。2018/04/04
ケロリーヌ@ベルばら同盟
20
【第105回海外作品読書会】60年連れ添ったジョンとエラ夫妻は、かつて家族で沢山の思い出を作ったキャンピングカーで、ルート66を走破する旅に出た。目的地は、ディズニーランド!運転手は、80歳を優に過ぎ、近年認知症が進行しているジョン。エラも深刻な病を抱えており、成人した子供達は、そんな二人の旅行に大反対。だから内緒で出発してしまった。心配を掛けるのは承知の上で成し遂げたいある覚悟を胸に。アメリカ横断の大動脈として栄えた道の凋落した姿に、自分たちを重ねながらも、ユーモアと矜持を失わないエラの旅の目的とは…。2018/03/09