10の奇妙な話

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  • サイズ B6判/ページ数 179p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784488010539
  • NDC分類 933
  • Cコード C0097

出版社内容情報

命を助けた若者に奇怪な風貌を罵倒され、心が壊れてしまった老姉妹。薄暗い洞窟を持つ金持ち夫妻に雇われ“隠者”となった男。“蝶の修理屋”を志し、博物館の標本の蝶を蘇らせようとする少年。教師が宇宙人にさらわれたと信じ込み、市役所に調査を要求する子供たち。家の近くで掘り出した骨でネックレスを作る少女。――ブッカー賞最終候補作の著者が、日常と異常の境界線を越えて異様な事態を引き起こしてしまった人々を描く短編集。

内容説明

敷地内に洞窟がある気まぐれな金持ち夫婦に雇われ、“隠者”となった男(「隠者求む」)。古物店で見つけた手術道具を使って、博物館に展示された標本の蝶を蘇らせようとする少年(「蝶の修理屋」)。襲来した宇宙人に先生がさらわれたと信じて役所に押しかけ、調査を要求する子供たち(「宇宙人にさらわれた」)。あるきっかけで日常と異常の境界線を越えてしまった人々。ブッカー賞最終候補の著者が描く切なさと愛しさに満ちた10の物語。各短編ごとに『モンタギューおじさんの怖い話』のデイヴィッド・ロバーツのイラスト収録!

著者等紹介

ジャクソン,ミック[ジャクソン,ミック] [Jackson,Mick]
1960年、イギリス生まれ。20代の頃はアメリカのロックバンドで活躍、その後ドキュメンタリーを中心に短編映画の監督・脚本を手がけ、1997年に『穴掘り公爵』(新潮社)で作家デビュー。同書はイギリス最高の文学賞であるブッカー賞と、イギリスまたはアイルランド在住の作家に与えられるウィットブレッド賞(2006年からはコスタ賞)処女作賞の最終候補作となった

田内志文[タウチシモン]
翻訳家、物書き。小説の執筆や朗読も行っている。元スヌーカー選手で、チーム世界選手権、アジア選手権日本代表(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

徒花

212
おもしろかった。イラストに惹かれて読んだけれど、想定の印象から比べるとわりと大人しめ…というか、ちょっとダークテイストな海外文学といった印象。眠り続ける少年や骨を集める少女、葬儀屋の一家など、ちょっと(かなり?)ズレた主人公たちが織り成す10の物語が収録されている短編集で、「あっ、ここで終わるのね」というくらいアッサリしている。ただし読後感はタイトルのように、スッキリしたものではなくなんだかモヤッとさせられるが、そのモヤモヤがちょっと心地よかったり。2019/03/25

ビブリッサ

115
読んでいる間、誰でも心の中に頭の中に物語の情景を思い描いているでしょう。字を目で追うのが読書ではなく、文字が作り出す世界を体験するのが読書かしら。10の物語は、私を10通りの世界に誘います。どの世界も、全然知らない世界ではありません。すりガラスの向こうのように、誰かいるのは分かっていたけれど誰かは分からない。プールで顔を水の中につけたときのように、話し声が聞こえるけど私に話してるの?私のいる世界とはレイヤーを隔てた物語の人物たち。誰かに似ていて誰でもない。「地下をゆく舟」「もはや跡形もなく」がお気に入り。2017/06/13

かりさ

101
奇妙な味わいの10編のお話。どれも不器用と言うよりは真っ直ぐさゆえにそこへと導かれてしまったお話したちのように感じました。奇妙である一方で何とも言えないおぞましさと哀れさが漂っていて、冒頭の「ピアース姉妹」などはほんの小さなきっかけでこうも世界はくるりと裏がえるのか、と衝撃でした。装丁も(読み終えて眺めると感慨深い)装画も物語を色濃く彩ります。お気に入りは、「眠れる少年」「蝶の修理屋」「骨集めの娘」そして雰囲気抜群の「ピアース姉妹」。読後にじわじわと効果が効いてくる物語たち、堪能しました。2016/05/14

星落秋風五丈原

98
常識と非常識の一線を越えてしまった人達の話。「ピアース姉妹」はあっさりと越える。「隠者求む」は終わってみれば子供を奪われてしまった可哀想な若夫婦の話なのだけれど、そもそもの始まりを考えると「しゃべるな」と言われ見世物にされ飽きられて邪険にされる有為転変を体現する隠者も相当可哀想なのだ。2016/04/10

藤月はな(灯れ松明の火)

92
ウッドハウスのようなとぼけた語りだと思っていたら突如、覗いた「異常」に戦慄が奔った『穴掘り公爵』の作者が贈る、日常の隣にある「異常」に飛び込んでしまった人々の物語。『穴掘り公爵』のモチーフである穴掘り、眠り、地下、野人もあるので『穴掘り公爵』を読んでいたら二重の意味でも楽しめます。個人的には山あり谷ありだけど浮き立つ人生を描いた「地下をゆく舟」と「ボタン泥棒」が好き。そして「もはや跡形もなく」は親に強い復讐心を抱き続けて、復讐心が空洞であるがもう、修正が利かない所まで陥っていたことに気づく一瞬が懐かしい。2016/03/19

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