血の探求

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  • サイズ B6判/ページ数 394p/高さ 19cm
  • 商品コード 9784488010157
  • NDC分類 933
  • Cコード C0097

出版社内容情報

アイデンティティを追い求める“患者”と“精神分析医”の話を盗み聞きする、大学教授の“私”。本文の大部分が盗み聞きで構成された、予測不可能かつ異様な傑作ミステリ!

内容説明

1974年の晩夏。休職中の大学教授である“私”は、サンフランシスコのダウンタウンにオフィスを借りた。そこは元続き部屋で、内部には隣室につながるドアがあった。ある日、そのドアから精神分析のセッションが聞こえてきた。“患者”は若い女性で、養子のため自分の出自がわからず、アイデンティティの欠落に苦しんでいた。“私”は息を殺して、産みの母親について調べる患者の話に耳を傾け続け、やがてふたりに気取られないようにしながら母親捜しの手伝いを始める。彼女はなぜ養子に出されたのか。“血の探求”の驚くべき結果とは―。本文のほとんどが盗み聞きで構成された、異色かつ予測不可能な傑作ミステリ。

著者等紹介

ウルマン,エレン[ウルマン,エレン] [Ullman,Ellen]
作家、コンピュータ・プログラマ。1980年代から90年代初頭にかけてのコンピュータ業界を描いたノンフィクションClose to the Machine:Technophilia and its Discontents(1997)でデビュー。2003年にはプログラマが主人公のフィクションThe Bugを上梓する。この作品は『ニューヨーク・タイムズ』で注目作として取り上げられ、PEN/ヘミングウェイ賞候補になった。『血の探求』By Bloodは三作めにあたり、『ニューヨーク・タイムズ』の“2012年の注目すべき100冊(100 Notable Books of 2012)”の一冊に選出された(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

藤月はな(灯れ松明の火)

57
AXNミステリーで杉江松恋氏がお薦めしていた、全編が隣室でのカウンセリングの盗み聞きという形態で取られた血にまつわる物語。同性愛者で祖父や父から愛されなかった養子である患者の話を盗み聞きする内に彼女の本当の母親の居場所を送りつける。この独善的で客観的でもないのに他人の人生に介入しようとする「私」こそ薄気味が悪く、現実も把握していないような言動からカウンセリングに行くべきだと思いました。「蝙蝠」にならざるを得なかった者、真実で幸福を壊された者、血にアイデンティティを求める者。背負うのは過去と血という呪縛だ。2014/03/14

yumiko

22
隣室から聞こえるセラピストと患者の会話。自らも心の病を抱えた大学教授は、血の繋がりとアイデンティティを巡る彼らの物語に次第にのめり込んでいく…。神経症的な主人公が癇に障り、正直半ばまでは読むのが辛かった。けれど話しが動き出した二部以降、先の読めない展開に、ほぼ一気読み。こんなミステリーもあるんだ!歴史に翻弄された女性の姿に、昔メリル・ストリープが演じたソフィーを思い出した。女性はただ弱き者ではないけれど、人々の心が荒み争いが生まれる時、やはり逃れられない性を背負った存在なのかと改めて悲しい思いがした。2014/02/26

ハッピーハートの樹

15
一生の間にできることなんてたかが知れてます。個人が何かを成すことではなくて、未来へ繋いでいくことが重要なんだと思います。どう生きたのかが、次の世代、またその次の世代に影響を与えます。過去や未来にとらわれ過ぎてはいけませんが、無関係ではありえません。自分の血筋はどこから来たのか知ることも、生きる上で大切なことですね。僕は親のことはある程度知っていますが、祖父母になると、もうリタイア後しか知りません。何かドラマチックな出来事もあったのかなぁ。/この本で描かれてる時代も本当に悲惨。2度と繰り返してはダメですね。2014/03/20

Reiko

15
隣の部屋から聞こえてくるサイコセラピーのセッションを盗み聞きする主人公。サイコセラピーで語られる被分析者のストーリーを主人公を通じて読者も徐々に知っていくと言う不思議な設定。登場人物も少なく、盗み聞きだけでここまで引っ張れるというのはすごい。アイデンティティの探究が主題。ミステリというよりは文学。精神分析がアメリカで盛んだった時代設定で、サイコセラピーが市民権を得ているアメリカならではの作品。ただし設定がユニークな割には戦争孤児という背景は普通かな。2014/02/26

りつこ

14
まさかこういう話だとは。分裂症気味の男がオフィスの隣の部屋のセラピストと患者の話を盗み聞き、という始まりだったので、ジャンキーなストーリーが展開されていくのかと思ったら…。ホロコーストについて語りながら、登場人物が精神的に病んでいたり家族の問題を抱えていたりして、それゆえ人種の問題もより身近にとらえられるものの、若干違和感もある。人種そのものを否定されることの悲惨さを親から否定されることと比べるのもどうなのかとは思うが、そうでもしないと実感を得られないということなのかなぁ。2014/05/15

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