出版社内容情報
現代の心理学、社会学、教育学において、もっとも重要な課題とされる自己意識の問題を先駆的研究者が解き明かす、シリーズ第2弾。
【発刊の辞】
自己意識の問題は、アイデンティティ、自己概念、自己イメージ、自尊感情、等々の形で論じられ、現代の心理学・社会学・教育学等において、最も重要な課題の一つとされてきました。個々人の言動の土台になるだけでなく、生き方の問題、さらには社会や文化の組織と機能にまでかかわってくるのが、自己意識の問題だからです。「人間の人間たるゆえんを解明するポイントは自己意識にあり」ということになるのではないでしょうか。従来はアメリカやヨーロッパでの研究が多かったのですが、現在においては日本の若手・中堅の研究者の間でも、非常にポピュラーな研究課題の一つとなっています。
私自身は、一九六〇年の京都大学文学部入学以来、今日まで一貫してこの領域の問題に取り組んできており、一九七一年に京都大学から授与された文学博士号も「自己意識の社会心理学的研究」というものでした。私の研究はその後、教育に関する諸問題などにも拡がっていますが、その際の大事な理論的枠組みにも自己意識の問題が大きくかかわっています。私の周辺の現役研究者にも、私の積み重ねてきた自己意識にかかわる仕事を一つの踏み台としてくれている人が少なくありません。
この論集は、私自身のこれまでの自己意識論に関する5冊の単行本を柱としながら、最近の論文等でこれを補い、新しいまとまった形で世に問おうというものです。
梶田叡一
目次
プロローグ 子どもの自己意識形成と学校教育
1 人間教育の基本課題として
2 自己感覚・自己概念と教育
3 自己概念・自尊感情とその形成
4 “まなざし”と自己概念
5 自己概念の成長・発達のために
エピローグ 有能な「駒」でなく賢明な「指し手」であるために
著者等紹介
梶田叡一[カジタエイイチ]
1941(昭和16)年4月3日、松江市生れ。隣の米子市で幼稚園・小学校・中学校・高等学校を卒え、京都大学文学部哲学科(心理学専攻)卒業。文学博士(1971年)。国立教育研究所主任研究官、日本女子大学文学部助教授、大阪大学人間科学部教授、京都大学高等教育教授システム開発センター長、京都ノートルダム女子大学長、兵庫教育大学長、環太平洋大学長、奈良学園大学長を歴任。現在は桃山学院教育大学長。併任として、(学)聖ウルスラ学院(仙台)理事長、日本語検定委員会理事長(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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