出版社内容情報
南アフリカ出身の社会学者が、「人の移動」をさまざまな局面から大局的、客観的、かつ熱情的にとらえる、前代未聞の歴史社会書。
内容説明
巡礼者、労働者、難民、探検家、亡命者、留学生、旅行者、退職者―世界中で「人の移動」が注目される今、「移民」の歴史とこれからに迫る!
目次
第1部 人の移動の始まり(出アフリカ初期人類;探検家 アラブ人、中国人、ヨーロッパ人 ほか)
第2部 近・現代の人の移動(アイルランド人の移動と「ジャガイモ飢饉による大移住」;南アフリカの鉱山労働者 ほか)
第3部 現代の人の移動(中国の戸籍制度と国内での人の移動;インドの分離独立と人の移動 ほか)
第4部 論争と進展(音楽のルーツとルート;知識を求めて 留学生 ほか)
著者等紹介
コーエン,ロビン[コーエン,ロビン] [Cohen,Robin]
1944年~。オックスフォード大学名誉教授。南アフリカ出身の社会学者。イギリスのウォリック大学をはじめ、ナイジェリアのイバダン大学、南アフリカのケープタウン大学、西インド諸島大学など、さまざまな国で教鞭をとった経歴がある(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
よっち
35
移民の歴史を4部44テーマという形で取り上げ、人の移動がどのような理由によって引き起こされ、どんな経緯を辿ったのかを解説した一冊。古くからある宗教を絡めた人の移動、近世の西洋の奴隷貿易やアジアの年季奉公人といった強制移動、国を巡る事情で突然状況が変わり振り回され行き場を失う人々、移民の増加や内戦による難民発生など、様々なアプローチから分かりやすく紹介されていて、世界の人の流れが現代の生活に付随する様々なものの流れと同じようなものになりつつある中、これからどのような流れが生まれるのか今後の動向に注目したい。2020/06/06
Satoshi
10
民族の移動をテーマに纏めた資料集。人々が移動する理由は様々であり、世界史の大きなイベントになっている。可視化されたデータと解説が分かりやすく。ニュースを見ながら読むのがおすすめ。2022/01/01
由佳
3
人の移動の資料集。新しいデータや視覚資料も豊富で、トピックが多いにも関わらず、それぞれに理解を深めることができた。やはり人々の移動には経済的な要因が強く結びついていることが多かった。人の移動、異文化の出会い、そこで起こる化学反応が現代を形作ってきた。この本には載っていなかったが、きっと現在のコロナによる移動制限は将来世界史の教科書に載るだろうなと思った。移動や面会を避ける新しい生活様式と、地元に根ざし真に価値のあるものを見直す原点回帰的な価値観が、今後世界にどのような影響を与えるのだろう。2020/07/17
ゆる言語学徒Nk
1
奴隷が禁止になっても労働力は欲しい 契約を結べば奴隷でない 年季奉公人 契約は名前さえ書けばいい 2023/10/05
日・月
1
人の移動を44のテーマに分けてみていき、その全体像をとらえる試みがされている。1つ1つの説明は概略的だ。原題はThe Movement of Humankind~なので「人類の移動史」でよいのだが、副題の「移民の~」は微妙。この中に難民、旅行者、留学生なども紹介されているからだ。しかし、枠にとらわれない新しい考え方が流行しているという。領域が固定された社会に根ざした社会科学ではなく、移動に根ざした社会科学という「モビリティーズ・パラダイム」という考え方だ。2022/11/18