内容説明
ささやかな日々、深く静かな声、愛と別れの一瞬と永遠の物語。フリーペーパー誌に連載中から読者の静かな共感と深い感動を呼んだ、藤原新也の新境地。最高傑作の呼び声高い1冊。
目次
尾瀬に死す
コスモスの影にはいつも誰かが隠れている
海辺のトメさんとクビワとゼロ
ツインカップ
車窓の向こうの人生
あじさいのころ
カハタレバナ
さすらいのオルゴール
街の喧騒に埋もれて消えるくらい小さくてかけがえのないもの
トウキョウアリガト
世界でたったひとつの手帳に書かれていること
六十二本と二十一本のバラ
運命は風に吹かれる花びらのよう
夏のかたみ
著者等紹介
藤原新也[フジワラシンヤ]
1944年、福岡県生まれ。東京芸術大学油絵科中退。インドを振り出しにアジア各地を旅し、『印度放浪』『西蔵放浪』『全東洋街道』などを著す。第三回木村伊兵衛写真賞、第二三回毎日芸術賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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乱読で活字が躍る本棚
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
detu
33
以前ラジオで『尾瀬に死す』という朗読を聴いた時、何故か概視感のある話しだと思った。それは更に数年前に観た単発ドラマだったのだと思い出す。心に残る話だったのだ。原作が有るのかと探し回った。検索にもヒットせず忘れていた。偶然見つけた短編集の一話にあった。著者は芸大油絵中退、アジア各地放浪後、写真家と作家として活躍。短編の冒頭に印象的な写真を載せ、どの話しも誰の日常にあるも、皆が気が付かない視点で語られているように思う。とても柔らかくて綺麗な文体は疲れた心を癒してくれるような感じ。手元に置きたい本。2019/01/08
あつひめ
21
多くを語ってはいないのに、その情景が浮かんでくる。主人公達の鬱々とした感情の動きが手にとるように感じられる。不思議な一冊です。透明でも濁ってもいない・・・水の中の物語のような・・・。藤原さんの作品を初めて読みましたが、この温度が気に入りました。ツインカップ、車窓の向こうの人生が特に印象的。再読したい一冊です。2010/08/21
HIRO1970
12
☆☆☆久々の新也さんの短編集。これは傑作集ですね。メトロのフリーペーパー向けに書いたものから選んだとのことでどれも短編ですが、それだけにギュッと凝縮された無駄のなさがいつも以上に感じられました。小さな幸せを描いたものや、生と死の受け止め方にまつわる話が多いのですが、71の短編から13の短編を選んだとのことですので、その際にテーマをこの辺に絞ったのではないかと思われます。個人的には普段から親しんで来た新也さんの過去の作品群とのオーバーラップ が感じられてあれこれ想像しながら非常に楽しめました。 2013/11/03
DEE
6
一つ一つは短編の中でも短いと思うけど、すっと柔らかに心に染み込んでくる。現実世界も人の心も何かが少し変わるだけで一変してしまう。でもこの本の中の物語は少しだけいい方に変わっているというか、収まるべきところに収まったんだなと、どれも腑に落ちる。2023/02/01
ほじゅどー
3
★★★★別れはいつか来る… ツインカップ。別れは突然… 車窓の向こうの人生。別れはオルゴールの音と共に… さすらいのオルゴール。など14の短編集。2012/09/01