内容説明
一九五四年、日本を訪れていたキャパは、突然戦渦のインドシナ行きを決意する。二度と戦争の写真は撮らないと宣言していた彼は、なぜ戦場に身を投じなければならなかったのか。これまで謎とされてきたキャパの最期の一日をめぐって、写真家、老ジャーナリスト、ヴェトミン、元ヴェトコン兵士のさまざまな人生が激しく交錯する。まさに日本のノンフィクションに決定的に新たな一頁を刻む傑作。
目次
1 ロバート・キャパ、日本に到着する(東京;熱海のブレクファスト;アンドレ・フリードマン ほか)
2 インドシナ(ディエン・ビエン・フー;植民地インドシナ;「二度と戦争写真は撮らない」 ほか)
3 一九五四年五月二十五日火曜日(水牛作戦;フービーで船を待つ;静かな戦争 ほか)
著者等紹介
横木安良夫[ヨコギアラオ]
1949年、千葉県市川市生まれ。日本大学芸術学部写真学科卒。1975年アシスタントをへてフリー。エディトリアル、広告、ファッション、NUDE、ドキュメンタリーなど、さまざまな分野の第一線で活躍
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感想・レビュー
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takao
3
インドシナで地雷を踏み死亡2023/06/25
kaguyam
3
キャパが死んだ場所を探すというノンフィクション。ほんの50年でこんなにも土地のことがわからなくなるものかと驚く。勿論、複雑な植民地時代や内戦などが大きく影響しているのだろうけど。キャパの撮る写真は、とにかく被写体に寄り添うような撮り方だと思っていたから概ね満足行く読後感。もっと知りたい人だ。 「はったりをかませること。肝心なのは、正しいテーブルで、正しいゲームに加わること。それさえできれば、運命の女神はほほえんでくれる。」2015/03/25
fritzng4
0
イングリッド・バーグマンの元恋人でマグナム・フォト代表、「戦場写真家」ロバート・キャパ。彼の1954年4月13日日本到着から5月25日インドシナでの地雷を踏んだことによる死まで、最期の日々が綿密な取材によって浮かび上がる。ことに、とりつかれたかのように遺された写真と記事からキャパの爆死した場所を探す行程はスリリング。「二度と戦場写真は撮らない」と言いながら平和な日本からインドシナへ向かったキャパ、何を思っていたのだろう。非常におもしろい一冊だった。2012/07/16