内容説明
わからないことを、わかりたい。生き物に魅せられた怪しい男が、近所の裏山から地球の裏側までを徘徊する。博物学とは、好奇心とは何だ?
目次
第1章 奇人大地に立つ(幼年期;義務教育課程以後)
第2章 あの裏山で待ってる(小松友人帳;アリヅカコオロギの謎)
第3章 ジャングルクルセイダーズ(東南アジアを征服せよ;命に関わる話 ほか)
第4章 裏山への回帰(ポスドク迷走;進撃の奇人 ほか)
第5章 極東より深愛を込めて(かならずペルーに勝ちに征く;熊楠になりたい)
著者等紹介
小松貴[コマツタカシ]
1982年生まれ。信州大学大学院総合工学系研究科山岳地域環境科学専攻博士課程修了博士(理学)日本学術振興会特別研究員DC1、信州大学理学部科研研究員を経て、2014年より九州大学熱帯農学研究センターにて日本学術振興会特別研究員PD(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
たまきら
39
著者の他の本があまりにも面白かったので、もう少し多様な観察対象が紹介されているこちらを読みました。楽しい!特に日本国内の話が私の好みで、スズメバチに餌付けをする話は特に楽しかったです。私はスズメバチではなくアシナガバチとカマキリにやりました。前者は確実にこちらを認識するようになりますが(アシナガバチも餌をもらいに来ます。学習能力が高い!)、カマキリは全く頓着しません。ホント社会性昆虫は素晴らしいです。2024/10/18
メタボン
36
☆☆☆☆☆ 普段読まないジャンルだが、これは滅法面白かった。著者の昆虫愛が凄い。流石自ら奇人と呼ぶレベル。ペルーでメバエを追い求めて、ついにその撮影に成功するくだりは極めてスリリング。この人の人生そのまま映画に出来そう。文章もユニーク。まだ40歳前ということだし、きっと素晴らしい昆虫学者として大成するに違いない。グンタイアリの行進を避けるゴギブリ等の昆虫に向かって卵を産み付けるメバエの生態、アリのアゴをつついて餌の分け前を催促するアリヅカコオロギの分類など、知らなかった小さな小さな昆虫の世界に魅了された。2021/01/30
tom
26
絶句・無類の面白さ。私にとっての、今年のトップテン入り間違いなし。幼児期からの昆虫大好き男が、昆虫の生態を知るために、ひたすら野原を駆け巡る。生活費を倹約するため麦飯を食べ、寒い中で1時間でも2時間でも立ちんぼう。研究に行き詰ると、電脳少女ゲームに沈み込み、博士論文提出時には、電脳少女10数人への謝辞を列挙する(指導教官は、実在しないヒトへの謝辞はダメと却下)。カラスがヒチコックの映画「鳥」のように舞う姿を見たいと策略を練り、見事に実現した様子には、大笑い。昆虫の姿を見たい一心での彼の生き方。すごい人だ。2016/01/23
たまご
22
とってもおすすめ!愛にあふれる作品登場.何への愛って,霊長類ヒト上科ヒト科ヒト以外の生物(+2次元美少女)への,相手にはだいぶ迷惑そうな愛(2次元は除く).自分の知りたいという欲望,つまり好奇心に忠実に従うその姿に,ある意味すがすがしさを感じます.長いカタカナの虫の名前がいっぱい出てくるのに,あら不思議,非常に読みやすく. 一番心に残ったのは「粗製濫造」.多数精鋭にこしたことはないですが,そうですよね.参加することに意義がある…のではなく,残すことに意義がある.みならわなければ.2016/06/30
みさどん
16
奇人っぷりが素晴らしい。好きだからこそ、蚊に襲われ命の危険にさらされても、アリに噛まれて異様な痛みに苦しんでも、貧しくて生活がまわりそうになくても、続けていかれる虫の探索。虫を手懐ける様子がおもしろい。ボルネオの死んだような森の話は怖かった。虫が住めなければ植物も花も鳥も、そして哺乳類も生きてはいけない。都合よく害虫として選別して殺している人、要注意だぞ。小松さんは文もお上手。本でお金を確実に得て、仕事やルーティンに生かしてほしい。2024/11/26