内容説明
アリの巣の中に躍動する生命の物語。世界初、アリと共生する生物の図鑑。
目次
節足動物門・六脚上綱・昆虫綱
節足動物門・六脚上綱・内顎綱
節足動物門・鋏角亜門・クモ綱
節足動物門・多足亜門・ヤスデ綱
節足動物門・甲殻亜門・軟甲綱
線形動物門・ニセハリセンチュウ綱
主要な寄主アリ
附・シロアリの巣の生きもの図鑑
著者等紹介
丸山宗利[マルヤマムネトシ]
1974年静岡県藤枝市生まれ。九州大学総合研究博物館助教
小松貴[コマツタカシ]
1982年神奈川県鎌倉市生まれ。信州大学理学部生物科学科科研研究員
工藤誠也[クドウセイヤ]
1988年青森県弘前市生まれ。岩手大学大学院連合農学研究科博士課程在籍
島田拓[シマダタク]
1981年東京都目黒区生まれ。アリ専門店AntRoom経営
木野村恭一[キノムラキョウイチ]
1952年岐阜県岐阜市生まれ。岐阜県立大垣北高等学校教諭(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
tom
26
アリの巣に居座る虫その他の生き物たち(好蟻性生物)の写真付きコメント集。この写真がすごい。体長1ミリから4ミリの生物ばかりだけど、その姿がきちんと撮っていて、かたちがハッキリわかる。とりわけ驚いたのが、アリノタカラというコナカイガラムシ科の虫。この虫は、アリさんとはお友達で特異的共生関係を持っている。女王アリさんは、結婚飛行に飛び立つとき、アリノタカラを口にくわえている。そしてたどり着いた土地でもいっしょに暮らす。この飛び立つシーンが写真になっている。こんな写真を撮ることができるなんて感動もの。すごい。2021/12/18
鯖
16
好蟻性生物の定義はアリ社会に依存する生きもの。人にとってのGとかツバメとかかなあ…。人とは比べ物にならないほどの期間を蟻と共に生きてるんだろうけども、これだけ蟻に依存する生き物を見るにつけ、それだけ蟻が社会的生物として完成されてるってことなんだろうなあ。同じ蝶のゴマシジミの仲間であっても、ダイレクトに幼虫を食べるもの、フェロモンで蟻に擬態して蜜をもらうものと進化の過程が垣間見えて面白い。ハリガネムシじゃないけどセンチュウに寄生されて、ミツツボアリのごとく腹がパンパンにはちきれんばかりなのはひええとなった。2019/04/13
Misa
12
共著者のお一方が高校の恩師であったことから手に取りましたが、それはさて置き、子どもたちに勧めたい本です。アリと好蟻性生物という視点がこれまでにない図鑑のスタイルで面白く、使われている写真にも迫力を感じます。この一枚を撮るのにどれほどの時間を費やしたのだろうかと著者たちのアリに対する深い愛を感じる一冊です。読後は、足元に広がる世界に興味を向ける人が増えるはず。漢字や解説だけを見ると、小さな子どもにはハードルが高いと判断しそうですが、小2の息子も「この虫知ってる!」と躍動感あふれる写真に惹き込まれていました。2014/02/22
Toshi
11
タイトルからは子供向け図書をイメージしてしまうが、とんでもないマニアックな一冊。好蟻性昆虫と言う、名前のとおりアリが好きでその巣に居候しちゃってる虫たちがひたすら登場する図鑑である。中にはアリの巣を掃除したり共生しているものもいるが、アリやその幼虫を捕食するものや、クロシジミと言う蝶の幼虫に至っては、身体から寄主アリの好む蜜を分泌する対価として餌をもらい、巣の中で幼虫期を育ててもらうものもいる。人間は社会的動物だなんて偉そうにしているけど、アリ社会だってすごい。しかもダイバーシティ半端ない(笑)。2020/11/27
saladin
4
先頃、小松貴氏の著作を2作ほど続けて読んだので、実物を(写真だけど)きっちりと観たくて。好蟻性生物をより具体的にイメージできるようになった。にしても、アリの体内に寄生するものは、生存のための手段だとわかっていてもエゲツない。たとえばナマクビノミバエ。名前からしてスゴイが、アリ体内に産み付けた卵は、アリの体液から栄養を吸収して孵化し、やがてアリの頭部へ移動。そして頭部と胸部の継ぎ目を溶かしてアリを断頭し(!)、その中身を食い尽くした後、アリの口器から身を乗り出して蛹化するという。……ホラーだ。2022/05/13