内容説明
本書は、著者が大学院博士課程在学時から近年に至るまでに発表した主な論考を集めたものである。新たにまとめるに際して発表順よりも主題の連関を重視した結果、ソクラテスをめぐる論考を中心とする第一部と、近・現代の問題を扱った第二部からなる二部構成となった。しかし、二つに分けはしたものの、実は全体の最初の論文と最後の論文が深いところでつながっているように、すべての論文が基本的には同じ問題意識に発していると言えるかも知れない。その問題意識は詰まるところ、行為規範と生の意味の不透明化、相対化という状況の中で、狂信主義を排除しつつ如何にして普遍性を獲得し得るか、という問いに集約されるであろうか。
目次
第1部 ソクラテスと生の根拠への問い(『ノモスとピュシス』―その倫理的意味;『プロタゴラスと価値の相対主義』;『対話と規範』;『理性と理性を超えるもの―如何にしてソクラテスはかくも決然と行為し得たのか』;プラトン『政治家』における勇気と節度;『生の択びと死』)
第2部 「神の死」と倫理学(『三つのニヒリズム―ニーチェのニヒリズム論についての一考察』;J.L.マッキーと普遍化可能性の問題)