感想・レビュー
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引用
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西洋建築思潮史でかなり整理された、『古典主義建築の系譜』を包含する内容である。しかしこれ以降の世代の建築史学者についても知りたい2019/12/16
ネオジム坊
2
著者森田慶一は19世紀末の生まれで帝大を卒業後、京大建築学科の設立に携わる日本の建築論の先駆け的存在であった。時代背景もあるのか些か構造主義的な建築分析であるが、齢82にして自らの研究人生の集大成を『建築論』と名づけて出版したこと自体資料的価値がある。ウィトルウィウス研究者として、用・強・美に加えて「聖(超越性)」というタームを導き出したのを評価したい。またギリシャ人が比例論において有理数(整数分割比、線的)と無理数(黄金比、平方的)を同じ「シュムメトリア」という言葉で表現していたのも興味深く感じた。2015/11/18
枕流だった人
2
船橋市2015/10/03
ksg
2
建築というもののあるべき姿を、強(建築の自立、耐用)・用(建築の用途、利便性)・美(建築の芸術性、視覚要素)・超越性(建築の精神性、宗教性)という4つの要素の存在とそれぞれの関わり合いがどのようにあるべきか、という観点で論じている。現代的な斜に構えた哲学としての建築論ではなく、建築論のまさに基礎中の基礎を徹底的に固めた本。勉強にはなるが、実践的な面はあまり無いか。どちらかというとウィトルウィウスの建築書に始まる「建築論」の歴史を知るのに役立つ。2012/05/14