CEMH文庫<br> 全員悪人

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CEMH文庫
全員悪人

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  • サイズ 文庫判/ページ数 176p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784484221502
  • NDC分類 916
  • Cコード C0195

出版社内容情報

\ 映画『兄を持ち運べるサイズに』原作の …/
\『兄の終い』に続く待望の文庫化 /
\文庫版補稿を収録/
※「文庫版補稿」はKindle版には収録されていません

義母が認知症になったらーー
折り合いの良くなかった家族との
別れを書いたベストセラー『兄の終い』
その裏で同時に起きていた
家族をめぐるもう一つの実話
認知症当事者から見た日常

「どちらさま? 誰かに似ているようですけれど」

私には居場所がない。知らない女に家に入り込まれ、今までずっと大切に使い、きれいに磨き上げてきたキッチンを牛耳られている。少し前まで、家事は完璧にこなしてきた。なんだってできました。ずっとずっと、お父さんのために、息子のために、なにからなにまで完璧に、私は家のなかを守ってきました。あなたはいつも、お母さんって本当にすごいですね、完璧な仕事ですよと言ってくれた。

あなたに一度聞いてみたことがある。なんなの、毎日代わる代わる家にやってくる例の女たちは? そしたらあなたは、「お母さん、あの人たちは、お父さんとお母さんの生活を支援してくださっている人たちなんです。介護のプロなんですよ」って言ったのだけど、こちらは家事のプロですから。――私は主婦を、もう六十年も立派に勤めてきたのです。

しっかり者の義母が認知症になった。
対話から見えた、当事者の恐れと苦しみを描く。

“老いるとは、想像していたよりもずっと複雑でやるせなく、絶望的な状況だ。そんななかで、過剰に複雑な感情を抱くことなく必要なものごとを手配し、ドライに手続きを重ねていくことが出来るのは私なのだろう。これは家族だからというよりも、人生の先達に対する敬意に近い感情だと考えている。(「あとがき」より)”


【目次】

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。

えみ

42
それがこなければいいと思う。徐々に失っていくその病は、本人も周囲の人間も長く悲しみが続き、長く苦しむことになるのだから。200頁にも満たない小説。それなのに読了後は長時間読み入ったようなこわばりが残された。分かっているようで本当のところは何も分かっていなかった。本人の不安や苛立ちもさることながら、周囲の困惑と諦めも嫌というほど伝わってきて、否定する現実、どこまで続くかわからない負担、限りのない悲しみ、意味のない怒り。そんな自分たちの手ではどうにもならない「認知症」という患者とその家族の現状。苦しみをみる。2026/04/07

こばまり

36
ノンフィクションかと思ったら認知症状を持つ人の一人称の小説だった。しかし家族が描いているから生々しく、こんな不条理な世界に自分が置かれたらと想像するとやるせない。同様の境遇となる確率は十分にある。迷惑を掛けずに認知症を楽しむ方策はないか。2026/04/19

あたびー

31
作者の姑さんが認知症に陥って苦しんでいる様を小説風にまとめた本。表紙にはコミカルでかわいいイラストが添えられているが、まったく笑い事ではない。その家その家で事情があるのだろうが、私にはこの親夫婦を2人きりで住まわせておく判断が理解できない。しかしそれ以上に怖ろしいのは、姑や両親が衰えていった様を見ていただけに、私もいずれこうなるのかも知れないということだ。子どもたちのためを思って秘密にしてきたことも、認知症になれば不安の種となり思わぬカミングアウトを迎えてしまうのかも。誰だって認知症にはなりたくないんだが2026/05/28

コンチャン

17
認知症を患ったおばあさんが主人公。世界がゆがんで見えていて、親しい人以外の人が自分とどんな関係性なのかが覚えられないので、常に不信感を抱いている。そして、夫の行動も信じられずに怒ったりする。過去、身近にそういう人がいたので、その行動はあるあるとして共感してしまう部分も多かった。なかなかに救いがないけれど、視点としては面白いし、少しでも理解が深まるのなら意義がある作品だと思う。2026/03/29

サクラ

5
こんなにしっちゃかめっちゃかになってるんですかね~、辛いですね...日々認知症の方と話をしていますが、そりゃあ困っちゃいますね…2026/06/09

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