トポスの知―「箱庭療法」の世界 (新・新装版)

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トポスの知―「箱庭療法」の世界 (新・新装版)

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  • サイズ B6判/ページ数 320p/高さ 19cm
  • 商品コード 9784484172118
  • NDC分類 146.8
  • Cコード C0011

出版社内容情報

多くの読者のご要望に応え、待望の名著復刻!
箱庭療法という心理療法の一技法をめぐる哲学者と心理療法家の対話。多くの読者のご要望に応え、待望の名著復刻!
限定された砂箱という「場」(トポス)に人間存在の在り様が示される――
〈箱庭療法〉という心理療法の一技法をめぐる哲学者と心理療法家の対話。

(河合隼雄「あとがき」より)
言うまでもなく、箱庭療法は、箱庭をつくることによって心理療法が行なわれてゆくのであるが、そこに生じる多くの出来事は、人生のドラマと言ってもよく、限定された砂箱という「場」(トポス)に、人間存在の在り様が見事に提示されてくるのである。
したがって、このことは、単に心理学とか心理療法ということを超えて、広く「人間存在」に対する関心をもっている人たちに、多くのことを知っていただきたいと思う新しい「知」をはらんでいるのである。

哲学と心理学は、従来からあまり仲の良い関係ではなかった。しかし、共著者である中村雄二郎氏と私は、この両者が協力しあうことがきわめて重要であり、またそれを必要とする時が来ているという認識をもっている。その両者の出会う「場」として箱庭というものが浮かびあがってきたことは、なかなか興味深いことと言わなければならない。
もちろん、われわれの“対話”は、まだ始まったばかりであり、これを出発点として哲学と心理学の対話が、異なる「場」や異なる「時」に、今後ますます発展してゆくことを願っている。

本文中でも述べていることだが、「箱庭療法」は簡単そうに見えて、その実、危険性も困難性も十分に持ちあわせている。本書によって箱庭に興味をもたれた方が、もし実際に箱庭療法を行なってゆこうとされるなら、専門的知識のある人の指導を受けられることが望ましいことを、ここに附言しておきたい。

箱庭療法と〈私〉――河合隼雄

 1 箱庭療法との出会い 
 2 どう発展したのか
 3 日本への導入の仕方
 4 発展に伴う課題
 5 〈都市の会〉との相互交流
 6 本書成立までのいきさつ
 7 ドラマとしての箱庭
  
? 〈自由に創ること〉の楽しさ
  
 箱庭療法はなぜ日本で成功したか
 無理な「組織化」を避ける――明石箱庭療法研究会の場合
 材料選びにも個性が反映する
  
? 豊かなイメージの世界
  
 ファンタジーの客観化 
 内面を「枠」で守る
 「枠」を越えること――アクティング・アウト
 世界の解体と再構成
 風景が一変する――日常と非日常
 死と直面する―― 男性原理と女性原理
 次元が変わる――立体と平面
 象徴性の強い世界
 イメージを噴出させる装置
  
? 〈癒やす〉意味とその働き
  
 「治す」ではなく「治る」こと
 性急な言語化は禁物
 ノーマルな作品の限界性
 隠すことも高次の表現
 情念のキャナライズ
 「解釈」ではなく「鑑賞」を
 曼陀羅生成の過程
  
? 隣接する領域とのかかわり
  
 芸術療法との関係
 夢体験と意識
 組み合わせの発想――箱庭の場合
 古典的箱庭との違い
 フラットな全体像――ロールシャッハ・テスト
 心理テストの位置づけ
  
? 箱庭・その哲学的パフォーマンス

 凝縮された「都市論」
 場所(トポス)の論理
 箱庭表現のなかの時間性
 シンボルとイメージが生命
 「触れること」の哲学
 コスモロジーとしての箱庭
 言語を超えて――無意識の責任
  
? 近代科学と新しい〈知〉のあり方
  
 近代科学の特質――瞬間証明主義
 箱庭療法は「科学」か
 新しいパラダイムとしての「臨床の知」
 知と文化のモデル――ツリー型とリゾーム型
 インテグレーションとは何か
 葛藤の美的解決
 他者の存在―― セラピストとクライエント
 身体論の展開――ヴァレリーからアルトー、ドゥルーズへ
 心身症と生きる手応え
  
新しい都市論と箱庭表現――中村雄二郎
  
 一 棲み家としての都市
 二 市川浩と山口昌男の仕事から
 三 多木浩二と前田愛の仕事から
 四 トポス論の新しい展開へ
  
あとがき
新装版あとがき――河合隼雄
新装版あとがき――中村雄二郎

索引(事項・人名)

河合隼雄[カワイハヤオ]
1928年、兵庫県多紀郡篠山町(現・篠山市)出身。心理学者。京都大学名誉教授、国際日本文化研究センター名誉教授。文化功労者。元文化庁長官。専門は分析心理学(ユング心理学)、臨床心理学、日本文化。学位は博士(教育学)。日本人として初めてユング研究所にてユング派分析家の資格を取得し、日本における分析心理学の普及・実践に貢献した。また、箱庭療法を日本へ初めて導入。臨床心理学・分析心理学の立場から1988年に日本臨床心理士資格認定協会を設立し、臨床心理士の資格整備にも貢献した。著書多数。2007年逝去。

中村雄二郎[ナカムラユウジロウ]
1925年、東京都出身。哲学者。明治大学名誉教授。東京大学文学部卒業後、文化放送に入社。その後、明治大学法学部教授を長く務めた。西洋哲学をはじめ日本文化・言語・科学・芸術などに目を向けた現代思想に関する著書が多数あり、主要著作は『中村雄二郎著作集』(岩波書店、第1期全10巻・第2期全10巻)に収められている。山口昌男と共に1970年代初めから雑誌『現代思想』などで活躍、1984年から1994年まで「へるめす」で磯崎新、大江健三郎、大岡信、武満徹、山口昌男とともに編集同人として活躍した。

内容説明

限定された砂箱という「場」に、人間存在の在り様が示される「箱庭療法」をめぐる哲学者と心理療法家の対話。

目次

箱庭療法と“私”
1 “自由に創ること”の楽しさ
2 豊かなイメージの世界
3 “癒やす”意味とその働き
4 隣接する領域とのかかわり
5 箱庭・その哲学的パフォーマンス
6 近代科学と新しい“知”のあり方
新しい都市論と箱庭表現

著者等紹介

河合隼雄[カワイハヤオ]
1928年、兵庫県多紀郡篠山町(現・篠山市)出身。心理学者。京都大学名誉教授、国際日本文化研究センター名誉教授。文化功労者。元文化庁長官。専門は分析心理学(ユング心理学)、臨床心理学、日本文化。学位は博士(教育学)。日本人として初めてユング研究所にてユング派分析家の資格を取得し、日本における分析心理学の普及・実践に貢献した。箱庭療法を日本へ初めて導入。臨床心理学・分析心理学の立場から1988年に日本臨床心理士資格認定協会を設立し、臨床心理士の資格整備にも貢献した。2007年逝去

中村雄二郎[ナカムラユウジロウ]
1925年、東京都出身。哲学者。明治大学名誉教授。東京大学文学部卒業後、文化放送に入社。その後、明治大学法学部教授を長く務めた。西洋哲学をはじめ日本文化・言語・科学・芸術などに目を向けた現代思想に関する著書が多数あり、山口昌男と共に1970年代初めから雑誌『現代思想』などで活躍、1984年から1994年まで「へるめす」で磯崎新、大江健三郎、大岡信、武満徹、山口昌男とともに編集同人として活躍した(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

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roughfractus02

9
ユング派のD・M・カルフの箱庭療法には、クライエントを自主的に個性化や自己実現に促す効果が確認されていた。箱庭を作ることは見ること自体も言語的意識から非言語的無意識へシフトする機会とされたが、そこにはまだ西洋の伝統的な象徴解釈の枠があった。対話者である中村は、カルフの象徴解釈の枠を外し、独自の箱庭療法を日本で展開する河合の方法に、見たままを記述する現象学との類似性を認める一方で、言語を合理性に従属させる近代の空間の扱いを都市のあり方に見る。対話は、無意識も含めた全体を「味わう」トポスの知の構想へと向かう。2023/01/31

☆ツイテル☆

2
フライヤー2021/12/13

kungyangyi

1
電子書籍読み上げで読んだので、箱庭の写真は見ないまま、音だけ聞いた。/トポスについては『紫マンダラ』に出てきて面白そうだったので、もっと知りたいと思っていたが、中村雄二郎さんとの話では、都市論や科学論との関連が多く、あまり興味を深められなかった。/分からない話も多かったが、箱庭療法が、実証科学と異なる、ユング派心理学で言えば、意識と無意識の統合あるいは自己実現に関わっているという点は理解できたように思う。2020/09/29

みーあ

0
★2 河合隼雄氏の名前に惹かれて図書館本。が、共著の中村雄二郎氏の話がほとんど頭に入ってず、字面を追うだけとなった。付箋箇所は1か所。ブラジルの首都としてブラジリアという人工都市をつくったところ、ぜんぜん住む人がいなくて、郊外にあるバラックのようなところに皆住んでしまった例を引き合いに出し、都市とか町とかで何よりも重要なのは、そのまに住んでいる『人間の住み心地』の問題という箇所。ただ役に立つというのではない、もう少し愉しむこともできるし、われわれの生きる糧となるような。何気なく通りかかる建物の高さとか、2023/04/11

しょうゆ

0
15年ぶりくらいの再読。当然見てきたものが全く当時と違うので感想はあっけないほどに全然違う。違って当然ではあるものの、15年と言う歳月で自分以上に世界も変わってしまった。科学の知の話は、この2020年、さらに先の世界ではどう読まれるのだろう。箱庭の魅力も然り。そして、河合隼雄の言葉や独特の言い回しは健在で、中村雄二郎とのラリーは本当に面白い。なんか時間を忘れてその循環に再三引き込まれていった。2020/04/20

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