内容説明
なぜ、オバマの「チェンジ(変革)」と「ホープ(希望)」に対して、ブッシュ時代と同じようなネガティブな視線を投げかけているのか?なぜ、「結果の不平等」の悪例探しに熱中する一方で、少なくとも日本よりは実現されている「アメリカの機会均等」制度を紹介しないのか?21世紀型の「嫌米感情」とシンクロした『ルポ貧困大国アメリカ』に対する反証を行い「オバマのアメリカ」の1年半を検証する。
目次
序章 異議あり「貧困大国アメリカ」
第1章 オバマの「希望」を支える機会均等の思想
第2章 対外イメージは「チェンジ」したか―オバマの軍事外交
第3章 政争に粘り勝つ「希望」―オバマの医療保険改革
第4章 草の根保守を抜きにアメリカは語れない
第5章 オバマの経済政策に「希望」はあるか
著者等紹介
冷泉彰彦[レイゼイアキヒコ]
米国ニュージャージー州在住。作家・ジャーナリスト。1959年東京都生まれ。東京大学文学部卒業、コロンビア大学大学院修了。福武書店(現ベネッセコーポレーション)勤務を経て93年に渡米し、現在はプリンストン日本語学校高等部主任。ニューズウィーク日本版オフィシャルサイトで「プリンストン発新潮流アメリカ」、メールマガジンJMM(村上龍編集長)で「from911/USAレポート」、日経マネーで「冷泉彰彦の米国マネー最前線」を連載(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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うさこ
11
アメリカの高校生は高額な学費を奨学金でまかなおうとするため、一般に第一志望には進学しない、という点が興味深い。皆保険制度がないのはやはり怖い。日本はアメリカのように年齢差別なく就職できるようになるといいと思う。2011/01/14
aya-panta
4
堤氏の『ルポ貧困大国アメリカ』Ⅰ、Ⅱを読んだので、セットで読んでおいた方がいいかな、と手に取った。「意義あり!」と帯にあるので、堤氏のルポへの完全なカウンターアーギュメントかと思ったが、実際は、どちらかと言うとアメリカの政治、政党のしくみや、オバマの政策についての説明が多かった。堤氏のルポが読まれた理由として、「貧困大国」という概念が日本社会の自画像の投影であるから、という指摘は鋭い。そのとおりだと思う。2012/03/04
やっさん
3
アメリカ在住の著者による『ルポ 貧困大国アメリカ』に対する反証本。中でも氏が強調しているのは「機会の平等」。また『ルポ~』では、アイビーリーグには資産家の子弟しか入れないような記述があったが、全然そんなことはないことが分かった。この本が描いている社会も、『ルポ~』が描いている社会も、どちらもアメリカの現実なんだなと。そして、米軍のリソースが低下しているのは共通して指摘していることだった。反証だけでなく、「草の根保守」の詳細な解説が面白く、ためになった。「そうだったのか!」の多い、得るものの多い本だった。2012/09/01
Teppei Tsujiyama
3
タイトルは売れた本に合わせた感じもする。中身が反論というより現代アメリカ政治の基礎知識、最近の動向の本です。メールマガジンをまとめた本なので過去の新聞の解説を読んでいる気分だった。貧困大国への反論がほぼなかった点は軍隊のリクルートに関する話。軍隊に関しては闇があるという表現で堤さんに同意しているように見える文面もあった。2014/04/08
えす
3
堤未果著『ルポ貧困大国アメリカ』『ルポ貧困大国アメリカⅡ』の情報の一面だけを強調していておかしい、という論から始まった。確かにそれはあるだろうなと思って読んだのでいいんだけど、じゃあオバマ大統領の「チェンジ」は進んでいるのだろうか、うーん。分からなくなりました。いろんな政治的駆け引きの末に、医療保険改革は前進したと見るのがこの著者の立場。それに懐疑的なのが堤さんの立場。でもやっぱり、公営保険をオプションとしたら民間企業の独占になって、アメリカ市民が困っている「医療費の高騰」とか「保険が下りない」といったこ2011/09/30