出版社内容情報
いま、「笑い」を取り巻く文脈が大きく変化しつつある。新しい時代の「笑い」をめぐって、インタビュー、論考、創作、エッセイ等から多角的に迫る、総特集増刊号。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
right27
4
あるコンビに衝撃を受けて劇場に通うようになったけれど、ときどきちくりとした、できれば無視してしてしまいたいような嫌な感じのする笑えなさに出くわすことがあって、でも、わたしはバカなので、それを考えたくなってこの本を買った。「『笑いにくさ』の正体は、ネタのおもしろさという次元だけで語りうるものではなく、社会的なまなざしの問題とも理解されねばならない。(p.92)」と塙幸枝さんが書いているが、笑えなさというものは、個人の固有の経験を反映しつつ、ある程度は社会における権力構造も反映するのだろうなと思ったりもする。2020/01/07
文狸
2
日本のup-to-dateなお笑いの事情を理解していないままの評論には強度がないし、一方で、お笑いが好きなだけの人の社会批評にも全く説得力がない。前者について、もちろんお笑いを語るうえでお笑い好きである必要は全くないが、しかし全体像を掴めていないと、ただ紋切り型の批判を繰り返すだけのつまらない論旨になる。この人は話題になった動画をYouTubeで片手間にチェックしたんだなというのは読んでいてすぐにわかる。後者について、最終的にはお笑いの肩を持つことが前提で、ただ世間から「怒られそうな」ところに目配せ→ 2020/12/10
ゆきだる
2
学生特集号。「エンタの神様」世代、最近はお笑いもほとんど見なくなってしまった私にとっては新鮮な話題と論であった。特にナイツ塙さんのインタビュー記事はなるほどと思うことも多かった。お笑いをしながら色々なことを考えているんだなあ。2020/03/05
ハイザワ
2
笑いについての技術論と、笑いの暴力性をめぐる批判的な議論とを橋渡しできるような論を作れたらいいんだろうなと思った。一番良かったのは、「冗談なんだから本気にすんなよ」という奴は最悪で、「冗談は本気で言え」というもの。つまり暴力性に無自覚なまま稚拙な技術でしか冗談を言えないなら冗談を言う資格はないよということ。これは自分でも気を付けたい。2020/01/08
kyon
1
笑いについての考察。「笑う」というのは、反射的なもの。本来、頭でいちいち考えてする動作ではない。だからこそデリケートなものとして扱われる。昨今、その内容についてやたらとコンプラがどうとかで騒がれる。その周辺について等に触れている。しかし私はフキンシンなものを笑ってしまい、無知を晒してしまう。ただ差別があるということを知った上で、それを乗り越えた笑いがあってもいいと思う。あることを、見ないふりするより、どうにか皮肉を言いたい、と思ってしまう。多勢の正論や排除は怖い。2023/03/20