内容説明
その女の官能の鏡を通りぬけて男たちは芸術家になった。天才画家ダリの創造の女神として名高いロシア生まれの女ガラ―二つの大戦にゆれる激動の時代を生きぬいた女の炎の生涯を軸に、詩人エリュアール、画家エルンストら芸術家たちの夢と創造、愛と死のドラマを灼熱のタッチで描く感動の小説風伝記。
目次
1 雪の娘
2 セイレンの魔力をもつ妻
3 同伴者
4 結びあう芸術家を映しだす女
5 太陽をもとめての亡命
6 女神、マドンナ、ヴァルプルギス
7 最後の火
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
松本直哉
23
女性の視点からみた芸術家たちの肖像が新鮮。M・エルンスト、P・エリュアール、S・ダリなど、関わった人々を挙げるだけでシュルレアリスムの歴史が一望できる。芸術家に霊感を与えるミューズというにとどまらず、その強い個性で彼らを支配し翻弄し、ほとんどファム・ファタールと言ってもいいほど。「振り返らない女」の評されるように、故国ロシアに残した家族にも、離婚したエリュアールとその娘にも執着せず、ただ今を生きる。左傾化して対独抵抗に身を捧げる詩人と袂を分かって、ダリとともに非政治的に生きる後半生にも興味は尽きない。2023/07/21
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