出版社内容情報
膨大な作品群を遺した坂本龍一。時代精神といかに対峙し、音を紡いでいったのか。多面的な軌跡の根底には何があったのか。「教授」と呼ばれた男をめぐる批評の書
内容説明
比類なき輝きを放つ作品群を遺した、坂本龍一。人類が良き未来へと少しでも歩めるよう、「脱原発」など社会運動にもコミットしていった、無二の音楽家。移り変わる時代精神といかに対峙し、音を紡いでいったのか?多面的なその軌跡の根底には、何があったのか?満を持して放つ、「教授」と呼ばれた男をめぐる、批評の書!解かれるべき謎、魅惑的な秘密―
目次
第1章 「教授」以前の彼
第2章 「イエロー・マジック」との闘い
第3章 「音楽図鑑」の時代
第4章 「J」との遭遇
第5章 調べから響きへ
第6章 彼の最後の歌
著者等紹介
佐々木敦[ササキアツシ]
1964年、愛知県生まれ。思考家/批評家/文筆家。音楽レーベルHEADZ主宰。映画美学校言語表現コース「ことばの学校」主任講師。芸術文化のさまざまな分野で活動(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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Sam
52
没後1年。早いものだ。最近映画(「CODA」)やドキュメンタリーを観た。つい先日のNHKスペシャルでの亡くなる直前のプライベート映像はかなり衝撃的だった。そして本書。著者は評伝ではないと言ってるがどう見ても立派な評伝(かつディスコグラフィー)である。でも本書を本書たらしめているのは著者も述べている通り「批評」であろうとする姿勢にあり、坂本龍一とはいかなる人物であったのか、その膨大な作品や活動、人脈はどのように生まれそしてどのように評価されるべきなのかといった視点が貫かれている。ファンには必読の書。2024/04/22
阿部義彦
20
Webちくまに連載されたのに(第二章まで)、大幅に加筆しました。私が好みのアルバムは「エスペラント」です、「音楽図鑑」や晩年の「async」も勿論ですが、アブストラクトでミュージックコンクレート的なこの路線正に教授ならでは!と思います。大瀧さんや細野さん小室さんなど、所謂普通の歌詞のある歌ではナンバーワンヒットは自分には素質が無いのは本人も解ってたのではないでしょうか?だが何気なく手癖で作ったピアノインストの「エナジーフロー」で1位に輝き得る物が有ったのでしょう。活動家の側面が凄く描かれて良かったです。2024/04/27
読書人カルロス
1
これまで坂本龍一の作品や言動に刺激され、心動かされてきた。新作が出るたび、その変化に驚かされ、興奮させられた。次はどんな作品を生み出すのかとわくわくしていた。 筆者が指摘するように、わたしも音楽や芸術、文化、社会との関わり、世界への態度、生きること、死ぬことーなど、彼から多くのことを学んだ。今作はそうした素晴らしい経験を思い出させてくれた一冊。多面的で複雑な物語をまとめ上げた筆者に拍手を贈りたい。そして今後も手元に置きながら、彼の音楽を聴き続けようと思う。2024/05/01