出版社内容情報
落語は文化である。江戸庶民の日常生活が生き生きと笑いと共に語られ、その中には暮らしの知恵が詰まっている。その奥深い魅力と聞きどころをイラスト入りで紹介。
内容説明
人間の愚かさの種々相を「ある、ある」と他人事ならず受け止め、笑ってしまう。そんな落語の登場人物のたまらない魅力をイラスト入りで紹介。巻末に、京須偕充氏との対談「日本のオトナ教育には「落語」がよろしいようで…」を付す。
目次
1 男と女
2 江戸的人情
3 遊びごころ
4 珍談奇談
5 人生いろいろ
6 騒動勃発
対談・京須偕充×中野翠―日本のオトナ教育には「落語」がよろしいようで…
著者等紹介
中野翠[ナカノミドリ]
コラムニスト、エッセイスト。早稲田大学政経学部卒業。新聞社でのアルバイト、出版社勤務を経て文筆業へ。社会・事件に関する批評のほか、映画や本、落語に関する文章で知られる。1985年、「サンデー毎日」に連載開始、現在も継続中。週刊文春「シネマチャート」評者の一人でもある(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
姉勤
34
志ん朝贔屓なのは分かったが、頁をめくるたびに募る感想は、ただ「薄い」と感じるのは、自分がこの本を手に取るのが遅すぎたからでしょう。本書のマーケティング的には、自分はそのターゲットに入っていない事をしっかり理解。内容は落語の演目に沿ってのエッセイ。ほぼ志ん朝のCD(たまに志ん生,先代文楽、圓生 これらもCD)を引き、落語論や世界観を垂れて戴く。そしてコマーシャル本でもある。圓生や志ん朝のCDやDVDなら、買って損は無いんだろうけど。2015/02/05
もりくに
24
毎晩、落語を聞きながら眠りにつく中野翠さんの本。いくつかの演題が、著者の「枕」と演題の紹介で綴られる。「枕」はピタリとハマる場合もあり、「鰻の幇間」では、著者が高いのに趣味に悪い旅館に泊まった話。座卓から座布団から茶碗から、言いたい放題。高座に上がれそう。好きな「文楽」「志ん生」「円生」「志ん朝」の話が多いが、残念ながらいずれも故人。CDで十分楽しめるが、「所作」が伴わないのが、なんとも残念。落語の最大の楽しみは、「説明しがたい、おかしさ」と。巻末の「円生百席」などの制作者の京須偕充さんとの対談が深い。2017/12/05
ふらん
16
落語エッセイとして面白く読めたのだけど、各話の冒頭に時事を持ってきて、それを噺のネタと絡める手法はどうかと思った。寄席の噺での枕とは違うのだ。少しこじつけのような感がしたのが残念。でも、もともと力量ある作家さん。噺への引き込み方は上手い。落語を知らない人でも興味を持つ作りになっている。2015/04/22
かず1号
8
今では大喜利くらいでしか落語家を見ることがない生活だけど、中村さんはたくさんの噺家さんを見て、同じ噺でも噺家による違いを楽しむ。その違いやあまり知らない噺と楽しみ方を紹介(自慢?)してくれる。僕みたいに落語に直に接したことが無い人間にもその面白さが伝わる楽しい本2017/12/25
いづむ
5
落語の様々な話をとりあげてあらすじや聞きどころが説明されているので、落語をあまり聞いたことのない人でも楽しめるし、私のように落語大好き人間にも「そうそう!この話の魅力ってそこなんだよね」と中野さんに握手を求めたくなるようなポイント満載。落語で使われる豊かな日本語(特に江戸弁の悪態表現の豊かさ)の魅力も再認識できます。それに今の膠着した社会に必要なのは落語の世界観だわ!なんて読みながら熱くなってみたり。。。昨今の着物に関する批判にも吹き出しつつ激しく同意!2013/04/02