内容説明
破天荒な天才喜劇役者の語る半生。「笑わぬ喜劇王」キートンが、映画のなかの凍りついた顔とはまた一味ちがった潤達な表情で、読む者を爆笑また爆笑に誘うことうけあいのウィットに富んだ傑作自伝。
目次
キートン三人組
ボクは社会問題になった
キートンの英国征服
神の住む祖国よ再び
映画界入門
世界が我らのものだったとき
人にもケモノにも熱愛され
笑いの止まった日
結婚と大儲けが忍び寄ってきた
三十万ドルのわが家とその他の中途半端な成功〔ほか〕
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
chanvesa
21
人生を振り返って語った内容をまとめ役の人がタイプした(372頁訳者あとがき)とのことで、明晰な記憶によって紡がれた言葉なのであろう。最終章のタイトルが表しているように、MGM解雇前後の没落をもっても、それほど湿っぽくならない。しかし、チャップリンがマッカーシズムで傷つけられた人生になっても、思想を映画に打ち込んだことに比べ、キートンのスペインでのあだ名のように「ほんの少しの無意味なもの」(249頁)という評価は避けられない。しかし圧倒的な身体能力により操り人形劇を人間でやっているような面白さは素晴らしい。2024/12/31
ホッタタカシ
5
キートンのインタヴューにより、彼が家族で演じていたアクロバット・ボードヴィルの内容や、キートンプロの映画製作の実際について、面白い挿話がぞくぞく。後のトム・ダーディスの評伝で“間違い”とされているところも含め、一級の史料であり、読むとキートン映画を新たな眼で見直したくなる魅力に満ちている。MGM入社後の没落、そしてギャグ担当者からテレビ、舞台に引っ張りだこの人気芸人として再起してゆく件は感動的でさえある。映画作家として伝説になったチャップリン、財団を作って富豪になったロイドとは違う幸福を手に入れたのだ。2013/11/22
印度 洋一郎
4
笑わぬ喜劇王、バスター・キートンが自身の人生を生い立ち、両親との出演したボードヴィル、そして映画界へと語り尽くした自伝。語り口で軽妙で、とてもサービス精神が旺盛なことがわかる。盟友アーバックルへの思いや、コメディ映画作りの現場の活き活きとした様子など、貴重な逸話が満載。「人生最大の過ち」という、MGMと契約をした以後の転落人生(妻との離婚問題も重なった)と、ギャグ作家やTVの世界への再起を果たした、流布するイメージとは異なる、充実した晩年を語って終わる、後味の良さも又、この本がキートンの作品である事の証だ2016/09/13
ヨシモト@更新の度にナイスつけるの止めてね
3
無類に面白い翻訳自伝といえば、何と云っても「俺はズラタン」だが、これはキートンのことを名前すら知らなくても、書きっぷりだけで充分笑いながら読めてしまう稀有な自伝だろう。破産も挟んだジェットコースター人生を振り返って、自分は幸せだと言い切れる、彼は本当の喜劇役者なのだ。ある日突然友人が「アナタに読んでもらいたいと思って」と送りつけてきたが、本とのこういう出会いもあるんだなぁ。2017/01/12
Gen Kato
2
再読。さらりと書いて(語って)いるが波乱万丈の人生。最後にいい奥さん(若く美人)を得られて本当に良かったと、遅れて来た大ファンとしては思う。2015/02/06
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