出版社内容情報
夫人の絶筆を含むエッセイに、撮り下ろしの幸福な写真を捧げた、二人三脚の人生の、最後の集大成。
内容説明
絶筆を含む夫人の最後のエッセイに、あざやかな光に満ちた写真を捧げて。二人三脚の人生の、幸福な終結。新盆までの夫の日記、未発表作品多数を併録。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
匠
144
子どもの頃、塾に通う電車の中で時々荒木氏をお見かけしたのをハッキリ覚えてる。黒いロングコートを無造作に羽織っていたりして、毛先のはねた独特なヘアスタイルと丸いサングラスにちょびヒゲが強烈なインパクトだった。この本はそんなアラーキーの、42歳という若さで亡くなられた晩年の奥様の絶筆を含むエッセイを中心にしながらも、彼女に対する荒木氏の愛情も溢れんばかりに詰まっていて、二人の仲の良い日常が伺えて微笑ましい。そしてその中にせつなさも感じてじわっとくる。陽子さんのコラム、もっと読んでみたかったなぁ。2014/06/26
アコ
15
敬愛する植田正治氏の評論で再会(?)したアラーキー。学生時代は正直その作風があまり好きではなかったし、いまもどうだろう?うーん、おそらく彼の作品を肯定しきれないかと。ただ陽子夫人にまつわるものに関しては素直に惹かれるし、彼女の前だけで見せるアラーキーがとてもかわいらしくて魅力的。それだけ愛してやまない素敵な女性だったんだろうなとおもう。最後のエッセイ『ヒマワリのぬくもり』では泣きそうになった。夫婦で歩く東京。陽子夫人亡きあとにひとりで歩く東京。ふたりの東京愛が伝わる。2013/11/23
tom
14
「10年目のセンチメンタルな旅」を読み、荒木陽子という人が気になってしまった。ということで、手元にあったこの本を再読。陽子さんが亡くなる直前に「思想の科学」に書いたエッセー(絶筆)と、亡くなった後に荒木経惟が書いたメモと撮った写真。荒木経惟は、陽子さんのことが、本気で好きだったのだろうと思う。撮る、撮られるという関係性の不思議さを感じてしまう。2019/09/30
tom
14
荒木さんの写真は、なかなかよろしいです。こういう写真なら、私にも撮れるかもしれないという妄想に駆られるのだけど、自分が撮った写真をながめて、その無意味さに愕然。繰り返しになってしまうけれど、荒木さんの写真は優れものです。2016/06/11
yuzuriha satoshi
5
大好きな人と一日中歩き回る東京 ずっとずっと続くはずだった連載は3回で終了してしまう 「彼の握ってくれた手から生命力をもらう〜二人の食卓は明るく愉しい。今夜はカキ鍋にしましょうね」最後の文章を残してヨーコは逝ってしまった せつないせつないせつない2012/12/25