内容説明
戦後間もない頃に始まる稀有の撮影ドキュメントとして、いまや古典的な位置をしめる日記の初訳。物資の欠乏と身体疾患に悩まされながら、夢とフィルムの間に介在する困難と格闘するコクトーの情熱が胸を打つ。
目次
美女と野獣の物語
『美女と野獣』撮影日記
美女と野獣
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
印度 洋一郎
1
映画「美女と野獣」の撮影中、監督のジャン・コクトーが記録した日記。映画の、いわゆるリアルタイムでのメイキング本としては古典とも言えるだろう。終戦直後のフランスで、物資や電力の不足、自らの体調不良(潰瘍や皮膚炎、ストレスが原因なのか)に悩まされながら、友人のルネ・クレマンに助けられつつ、撮影に邁進する。その記述を読むと、こじんまりと、余り高度な技術も使わずに(一部スクリーン・プロセスあり)、あのファンタジーを作っていたのだと驚かされる。コクトー曰く「計画し、準備した以外のことが撮影中に起こる映画の魔術」と2018/09/08
寛理
0
☆☆☆☆ コクトーの映画に対する情熱に打たれる本だった。顔が甲羅のようになってしまう病気を押してがんばるコクトー。最後、フランスのいいところは自覚せざる無政府性だ、と言って、決して褒章など与えないがすぐれた芸術家(自分を含めた)を生み出し続けるフランスという国を賛美するのだが、ここでコクトーが肯定していることはそのまま批判に使えるな、と思って面白かった。 「美女と野獣」物語の各バージョンの比較を学校のレポートでやってみたいと思っている。2019/05/27