内容説明
ヌーヴェル・ヴァーグの映画に目がくらんでパリに渡り、ロメールとの劇的な出会いからプロの道に入って、トリュフォーやテレンス・マリック、ロバート・ベントンらの秀作の撮影監督をつとめた〈キャメラの魔術師〉が、作品に沿って語る感動的な体験の数々。最新作までを収めた決定版。
目次
ネストール・アルメンドロスの光
撮影監督の仕事について
私の前史
プロとしての仕事
コマーシャル・フィルムの体験
新しいドキュメンタリーの体験
フォトジェニーについての考察
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
fonfon
4
再読。「私の好きな風景とは人間の顔に他ならない。そこにはもっとも魅惑的な山や谷が、最も澄んだ湖が、最も深い森があり、つまりは風景の総体がある。顔に光を当てることほど心躍らせるものはない」アルメンドロスが撮影監督として関わった数々の映画のエピソードとともに、自身のスタイルを存分に語りつくした名著。素敵なスティール写真もいっぱい。2011/09/14
Tatsuhiko
1
映画を観るのは好きだが、そのテクニックなどに関する本はほとんど読んでこなかったため目を開かされたような思いがする。訳者解説でも言われている通り、どんなに「自然」に見える画でも、その後ろにはアルメンドロス流の美意識に裏付けられた意図や工夫がある。最後の方に、室内画に比べ風景画を撮るのは容易だが、観客は風景画を良い画と認識しがちというのはまさに自分のことを言い当てられたような気がした。この本を読んだ後では室内や人物を対象とするライティングにもっと注意を払うようになるだろう。2021/09/17
fritzng4
0
スペイン出身の著者が父親の亡命のためキューバに移り映画を知り、ローマ、ニューヨークで映画を学び、キューバに戻ってプロとして映画作りに邁進する。時のいたずらでフランスで『パリところどころ』の撮影に参加し、ロメールらヌーヴェルヴァーグ勢の知己を得、その後世界に名だたる撮影監督になる。作品ごとの成長の記録が微にいり細にいり書いてあり、なんて真面目な人なんだろうと感激する。2015/10/05
sakamoto
0
『緑色の部屋』では借りた一軒の家をトリュフォー演じる主役の家や勤め先の新聞社やナタリー・バイの部屋などに仕立て上げて撮影。『クレイマー、クレイマー』の息子の部屋はマグリット、公園での落下はオデッサの階段……などなど。具体的な撮影アイデアの語りが面白い。2013/09/28
テキィ
0
職業人が書いた著作としては傑作だと思う。そういう意味で大空のサムライに通じますね。2008/09/21