出版社内容情報
母と娘が対立するのは、実は女性が生きづらい社会のありかたと関係するのではないか。体験をもとに戦後の高度経済成長期から#MeTooまでの流れを読み解く。
内容説明
「家に帰ったらごはんが用意されている生活に憧れるから、結婚したい」そんな風に思う男たちを育ててしまった社会のお話です。
目次
声を上げる女性たち
母を知らない娘 娘がわからない母(「ママハラ=母親ハラスメント」とは何か;母の呪い;母親は、なぜ娘に「女子力」を身に着けさせるのか ほか)
母娘をとりまく社会(憧れを叶えた昭和家族;郊外の専業主婦;役割がない父 ほか)
変わり始めた女性たち(シンデレラ・ストーリーの進化;『ハッピー・マニア』が解いた呪い;『のだめカンタービレ』のカップル ほか)
著者等紹介
阿古真理[アコマリ]
作家。生活史研究家。1968年兵庫県生まれ。神戸女学院大学文学部総合文化学科(社会学)を卒業後、広告制作会社を経てフリーに。1999年より東京に拠点を移し、食や生活史、女性の生き方などをテーマに執筆(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
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kenitirokikuti
8
図書館にて。著者は1968年生まれ、神女(神戸女学院)卒。その母は1939年生まれで、広島女学院卒。この母の過干渉がしんどいという深い嘆きが吐かれている。女性学・フェミニズムによるオーソドックスな社会分析も扱われているが、個人の悩みとのギャップが大きい。私は1974年生まれで同じ神戸市のカトリック系の六甲学院出身なので、ある程度その「マイノリティ」性は分かる。まぁ、うちの両親は高卒だったので、親からの高学歴圧力はなかったが▲筑波大学周辺の小学校、高学歴研究者ばっかなせいか、学級崩壊してたのを重い出す2022/06/08
塩崎ツトム
7
いわゆる「毒親」に関して当事者の体験談はたくさん出ており、個人にできる一番の対処法は「親から逃げること」という点しかないんだけど、同じく毒親育ちの著者が、なんでそんな毒親が発生するのかということを社会や家族の在り方の歪みとしてあらためて分析する。構造上の問題として、「ママハラ」というハラスメントの形としての呼称を採用している。2019/12/29
introduction
5
「時代の変化は速く、母と娘は異なる環境に接し異なる価値観を持つ。一番理解して欲しい相手なのにそれが叶わなければ、確執が生じてもしかたがないのかもしれない。」まさに今そう思わされている。2022/03/10
ネギっ子gen
5
表題について、冒頭で<この問題が長い間日本でタブーとされてきたこと、そして今も母に屈託を抱える、あるいは憎む娘が批判されがちなことの背景には、女性が生きづらい社会の構造があるのではないだろうか>と書く。同感だ。続けて<母と娘の間で絡まった糸を解きほぐし、本当の敵はどこにいるのかを知りたい。今はそれを知って変える好機である。なぜなら今、日本と世界は、フェミニズム・ムーブメントのただなかにあるから>と。そこで本著後半では、副題になっている「女性をとりまく家族と社会」を、“フェミニズム”を手掛かりに探求する。⇒2020/03/30
もけうに
4
母娘問題というより、その背景にある女性差別を取り扱う書籍。フェミニズム書として質が高い。実際の母娘関係から、メディアに描かれる女性像まで、幅広く扱っている。私も母と確執があるが、その背景には母も抑圧され、差別されてきた歴史があることはわかる(というかその愚痴を散々聞かされてきたので)。女性は個人であるより、娘であり、妻であり、母であることを求められる。自分が本当は何を求めているかわからなくなり、うつや摂食障害になる。幼少期に母からピアノ学習を強制させられた著者と、英語を強制的に習わされた過去が重なる。2021/07/27