内容説明
離婚、共働き、非婚の母、晩婚化…「家族のあるべき姿」とは違った生き方がなぜ増えているのか、それぞれが抱える問題を軽減するためにどうしたらいいのかを社会学・歴史学をふまえて提言する。
目次
第1章 メディアのセンセーショナルな報道を超えて―歴史学と社会学はどうやって今日の家族を支援できるか
第2章 私たちはなぜ一九五〇年代を懐かしむのか
第3章 なぜ働く母親は減らないのか
第4章 結婚の未来を考える
第5章 離婚を正しい視点から眺めると
第6章 なぜ伝統は家族を救えないか
第7章 スケープゴートを探して―家族と経済変化
第8章 歴史的社会的変化の軽視が子供の危機をまねく
第9章 現実と直面する―今日の家族にみる長所と短所
著者等紹介
クーンツ,ステファニー[クーンツ,ステファニー][Coontz,Stephanie]
エヴァーグリーン州立大学教授。家族史、社会史、女性史を専門とする。また、古くからの反戦活動家としても知られる
岡村ひとみ[オカムラヒトミ]
大阪大学文学部卒業。同志社大学大学院修士課程、アラバマ大学大学院修士課程修了。現在、法政大学、恵泉女学園大学非常勤講師
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感想・レビュー
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寛生
16
米国での家族像について様々な観点から検証している。従来の家族的倫理観を守っていくことより、ある意味革新的な家族像を提示しているのではないかという印象を持った。例えば夫婦が愛し合っているわけでもないのに子供のために離婚しないで〈家族〉を形式的に保つ努力をするより、さっさと離婚したほうが子供のためにもいいという。シングルマザーの場合であっても、子供が犯罪に走ることの確率は、社会学的な数字からも、見られないということも説得力がある。新しい家族の価値観の想像を多様な学問の領域から検証して探っている。2013/09/18
寛生
14
大切なのは、どのようなカタチの家族であっても、〈大人〉と〈子供〉の信頼関係を揺るぎないものとし、日々大切に育てていくことじゃないかな。英語で言う「コミットメント」について、家族というカタチを考える上で、個人的にも考えていきたい。2013/09/18
くさてる
1
働く母親、離婚が子どもに与える影響、家族形態の変化と経済の関係など、イメージで語られがちな事象について、実際の統計的な数字、客観的な事実や研究に基づいて、この本が書かれた90年代後半のアメリカの現実を分析した内容。日本の現状にも充分通じるものがあって面白かった。日本で昭和30年代ブームがあるようにアメリカでも50年代を懐かしむ声があったとは。この本にある、現実の家族関係の変化に対応した社会的支援を、という視点は、とても大事なものだと思うけれど、それをそのまま飲み込めない人間の心のありようにも興味を感じる。2011/10/30




