内容説明
中世における賎民から現代の都市にとり残された経済的弱者まで、また、江戸の博徒や義賊から近代以降のやくざまで―「ル・モンド」の日本特派員を務めるフランス知識人が、社会の周縁に生きる人々の営みの変遷をたどる意欲作。
目次
第1部 日陰の人々(中世における周縁民;江戸期下層のヒエラルキー;国民国家の周縁で;大変容 ほか)
第2部 やくざ(江戸の犯罪;義賊;敗戦期のやくざから暴力団まで;やくざの組織・権威・伝統 ほか)
著者等紹介
ポンス,フィリップ[ポンス,フィリップ][Pons,Philippe]
1942年パリ生まれ。現在『ル・モンド』東京支局長。政治学・社会学を学んだ後、東京日仏会館の研究員から、1975年に『ル・モンド』紙記者となり、日本特派員を長年務める
安永愛[ヤスナガアイ]
1965年広島生まれ。現在静岡大学人文学部助教授。1988年東京大学文学部社会学科卒業。同大学にて社会学修士号および学術修士号取得。パリ第8大学に留学しDEA取得。1999年静岡大学人文学部講師となり、2001年より現職。専門は近現代フランス文学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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姉勤
37
フランス人学者による日本民俗学研究。一部を太古から繋がる、差別されてきた階級や職業、異族的文化、文明圏の人々。二部をやくざ、テキヤの主に戦後の社会的政治的な関わりを。負の感情なぞなけりゃ良いに決まってるが、集団を維持しなければ繁栄できない人間の、理屈だけでは割り切れない矛盾や制約。そのなんらかの折り合いの最適解を見出すための落とし所。善悪を判断するのは脳とそこに蓄えられた情報と経験。その脳は、肉体の2%ながら20%のエネルギーを消費する。その過剰なインフラを使い、人間はいつから差別を始めたのか。2024/01/04
ともゑ
3
日本の日雇労働者・ヤクザ・テキ屋の歴史の3本立て。特にヤクザは政治家などとの関係諸々、濃い内容。実録系本とかでもお馴染みのネタなのかもしれないけど、そういうのとも違うんだよな。冷静な目で遠慮無く書けたのはむしろ著者が海外の人だからか。2013/12/12
Kolon
2
実に内容の濃い本だった。日本の被差別、貧困、芸能、ヤクザ、テキヤに至る日本の裏歴史を網羅的に、あたこれほどマニアックに洞察した本を他に知らない。おまけに著者はル・モンドの記者でフランス人だ。 余りに仔細な記述が多いため読むのに時間がかかったが、歴史好きとしては現代社会の裏側に存在する裏面史を深める意味でもじっくりと読むことが出来て良かった。2022/10/28
Naomi Araki
1
かなり広範囲に渡るがダイジェスト的に、裏社会について、退屈させることなく書いていて、とても面白かった。ポンスさんはパリ生まれのフランス人ということで、日本人としては後ろめたい差別の話も客観的に述べていて、罪悪感なしに理解することができたことはとても大きい。知りたくても人に質問できなかった事がだいぶわかった。2019/03/25
ポルポ・ウィズ・バナナ
1
これは本当に名著!!!義務教育の教科書にすべき!!!未だ「江戸時代は士農工商っつう閉鎖的タテ階層社会だった」とか教えてんでしょ?あのさあ、その「明治政府史観」とかもうイイっつうの。江戸時代はもっと流動的な社会だったっつうの。大体、教えてることが真逆だと思うんだよな。例えば「参勤交代」問題。参勤交代のおかげでどれだけ日本の流通システムが発展したか。まあそんな話が沢山書いてありますので是非沢山の人に読んで欲しい一冊。戦後の自民党と闇勢力との関わりも大変わかり易く書かれておりますので、近代史どころか近現代史の教2009/06/14
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