内容説明
ヒトラー時代、普通のドイツ人が、いかにして史上稀な大量殺戮者に変身したのか。知られざる警察予備隊の衝撃の実態。人間の心に潜む魔性の恐怖。ホロコーストの基本図書。
目次
ユゼフフのある朝
通常警察
通常警察と最終的解決(ソ連1941年;強制移送)
第101警察予備大隊
ポーランド到着
大量殺戮への通過儀礼―ユゼフフの大虐殺
大虐殺の考察
ウォマジー―第二中隊の急襲
トレブリンカへの八月の強制移送
九月下旬の射殺〔ほか〕
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
サトシ@朝練ファイト
34
この本は、普通のドイツ人がいかにホロコースト、ユダヤ人狩りに手を染めるようになったか、加害者側の視点で書かれた作品です。日本兵が中国で、マニラでしてきたことにも通じます。平易な言葉で訳されて読みやすいけど最後まで読み通すにはかなり大変でした。機会があれば多くの人が手に取るべきだと思います。2016/08/21
扉のこちら側
23
初読。良き夫、父であった普通の人々が、ヒトラーの世界観戦争に巻き込まれ、いかにして大量殺戮の専門家に変貌していったか。加害者の証言が豊富に引用されている。日本人とっても他人事とは思えない。2012/12/05
魚京童!
19
ナチスすごいよね。軍を減らせって言われたから、警察を増やした。軍と警察の違いってなんだろうね。領土を侵せば、国が増えるから、国内の治安維持って大事だよね。ユダヤ人問題って国内の問題だから、警察権の範囲なんだよね。生まれたところの制度に従うなら、ユダヤ人は殺せっていう世界に生まれたら死ななければならない。普通の人びとはユダヤ人の頭を打たなければならない。私は打つことができるのだろうか。列車で運ぶのと大きな断絶を超えられるのだろうか。だから私は警察権を認めないのだ。だからガス室なのだろう。まとめて殺す。2021/05/18
taku
12
がっつり史実の戦慄。ホロコーストと第101警察予備大隊。普通である彼等は、なぜ殺戮者になっていったのか。多くのユダヤ人が射殺されたと繰り返される記録に鬱々とし、引用される加害者側の証言によって、数々のおぞましい記憶に触れる。その蓄積にいつしか私も麻痺してしまうようだ。そうか、この感覚こそ順応してしまう普通の人びとなのか。2020/06/30
tama
10
図書館本 これは研究レポート。基本的に小説やドキュメンタリーではない。前半事実の掘り起し、後半が長い後書きで心理学を多用した「普通のドイツ人がなぜそんなことをしたか」の推論。前半は正確性客観性重視。後半はその原因をフィリップ・ジンバルドーやスタンレー・ミルグラムの心理学実験やウィリアム・グラハム・サムナーの考えで解こうとする。戦後ドイツは自国民の戦争犯罪を自らの手で調査、審判してるし、まず虐殺命令に従わない人も結構いた。日本とエライ違いだ。従わなかった人たちも特に虐待されてはいない!2021/01/13