内容説明
『母性という神話(プラスラブ)』の著者が、さらに果敢に男女関係の歴史に挑戦。太古、男女が並行していた時代から、絶対父権制を経て、男女の相違より類似が強調される両性具有の時代へ。男が子どもを産む時代が来る。
目次
第1部 男と女(男女の原初的補完性;女権から権力の共有へ)
第2部 男対女(絶対父権制あるいは全権力の没収;対立の論理あるいは男女の戦い;父権制の終焉)
第3部 男は女、女は男(男女の類似性;カップル、あるいは心の変容;再び権力の問題について)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
松本直哉
30
父権制の終焉とともに男女の差異はなくなり類似がむしろ際立ち、女は男と同様に働き、男は女と同様に育児をする。もともとどんな人間にも男性性と女性性が共存していて、自らの内なる他性altéritéに気づけば、異性との相互理解も深まる。そうなると、男性はもはや〈産まない性〉という否定的なやり方でしか自らを定義できなくなり、男性にとってより生きにくい時代。確かに昔と比べて赤ちゃんを抱いた若い父親を見かけることは多くなったが、本当に父権制は終焉したのだろうか?西欧の白人のブルジョワ社会ではある程度そうかもしれないが。2022/02/26