内容説明
本書は、フランスのトイレに関するすべての疑問に答えていると言わぬまでも、どこに問題があるかを明らかにし、そしてその問題を解決するためにフランス人がこれまでどのような努力をし苦労をして来たかということを豊富な資料を用いて時代順に叙述している。ただ、悪くするとゲテ物趣味に陥りかねない排泄物処理の歴史に真正面から取り組みながら本書が雑学的、百科辞典的情報の羅列に終っていないのは、極端なまでのその思想性のせいであろう。実にフランス的と言うべきか、著者はオシッコのやり方、ウンコの捨て方という極めて卑近な動作を記述しつつそこから社会の心的傾向、一つの思想を帰納しようとする。
目次
1 〓水に御用心!〓
2 穴あき椅子、溲瓶、おまる
3 最後の〓微風〓が吹く頃に
4 公衆衛生監督局の起源
5 下水道なしに街路なし
6 便座上の規律
7自由を抹殺する法
8 パリの公衆便所
9 ゆっくりと、人目につかぬよう…