出版社内容情報
たくさん単語を暗記してもことば力は育たない。ことばの意味を自分で考えて覚えれば、ことば力、思考力、学力もアップ。その仕組みと方法をわかりやすく伝える。
内容説明
たくさん単語を暗記してもことば力は育たない。ことばの意味を自分で考えて覚えれば、ことば力、思考力、学力もアップ。その仕組みと方法をわかりやすく伝えます。
目次
1 子どもはことばをどう覚えていくか(ことばが指し示す範囲を探す―「ウサギ」の意味は?;モノの特徴に注目する―レモンもはっぱも「おつきさま」 ほか)
2 ことばの力と「思考力」(「思考力」っていったい何?;推論って何? ほか)
3 学校で必要になることば力と「9歳の壁」(日常生活の語彙では足りない;抽象的な概念のことばを理解する ほか)
4 幼児期にことば力をつける方法(ことば力が十分に育たないわけ;幼児期のことば力が学力を決める ほか)
5 思考力と学力を育てる絵本読み聞かせ(小学校以降で必要な語彙のほとんどは読書から学ぶ;絵本選びと絵本読みのポイント ほか)
著者等紹介
今井むつみ[イマイムツミ]
慶應義塾大学環境情報学部教授。赤ちゃんや幼児を対象に実験をして分かったことを論文にし、世界を舞台に活躍する発達心理学者。近年は、ことば力やことばのセンスを測定するアセスメントの開発や、一般読者向けの本の執筆・講演活動にも力を入れている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
りょうみや
36
いわゆる賢い子に育てる系の育児本には幼少期からの絵本の読み聞かせ、親子の対話、実体験は必須項目になっているものだが、本書は認知科学と発達心理学の観点からそれらの重要性を裏付けている。読み進むに連れて、ことば力と思考力が切り離せない一体のものだということが分かってくる。小学校で抽象的な概念用語が増えてくる高学年になるまでに生きた語彙力を身につけておかないと対応できなくなる。著者の本は何冊か読んだが本書が一番一般向けで分かりやすい。2022/10/07
みっこ
35
さらっと一読。内容はほとんど知っていること、普段から気をつけていることで、特にひっかかる部分はなかった。(今の時代求められるのは)『どのような状況にも柔軟に対応できる思考力を持ち、何歳になっても新しいことを自分で学ぶことができる人間』という箇所に同意。『教えるより足かけをつくる』という表現も良かったです。2022/02/16
はる
13
生きた語彙力と思考力は両輪のように密接に関わっているというのは納得。昨今話題の読解力というのもこういうことなんだろう。大人の私でもまだまだ知らない言葉や曖昧にしか理解できていない言葉は沢山あり、インプットとアウトプットの繰り返しだなと思う。子どもとの会話でも少しずつ大人の語彙を混ぜていくようにしよう。2022/10/17
生ハム
13
語彙力と思考力は学びの両輪どころか、「学びの右足と左足」であり、「どちらか片方だけが成長することはなく」、伴って育っていく、というお話。日常生活で使う語彙は具体的なものが多く、小学校3〜4年から学力に大きなばらつきがでるのは、抽象的な言葉が身に付いていないからでは、という指摘は非常に興味深い。一昔前のピアジェの理論と、根っこでは似ているのでは。抽象的な思考自体は出来ても、言葉が獲得されていないと、それを扱うことも、観測することもできないですものね。日々の言葉を大切にしようと思いました。2020/04/27
そらこ
10
発達心理学と認知科学が専門の著者が、子どもが言葉を発見、覚えていく過程を解き明かし、子どもの思考力、問題解決能力を伸ばすために、大人にできることを提案する。誕生時、一言も知らない赤ん坊が、誰に教わるともなく話し始めるのは、とても不思議。周りの人の言葉に耳を澄まし、モノの名に気づき、特定、推測し、試行錯誤しながら、生きた言葉を獲得していく。小さな頭を忙しく働かせてとてつもない偉業を(それも楽しんで)していると感動した。私のような読み聞かせボランティアは読むことしかできないが、少しでも助けになればと思う。2022/02/05