出版社内容情報
わが国における数少ない国際派カント研究の第一人者であった石川文康氏が、最新の研究成果をふまえ、畢生の仕事として全身全霊を賭けて取り組んだ全面新訳。
内容説明
主要な基本用語をラテン語の原義にたちかえり、現代にふさわしい平明な訳語にあらためた、ちくま新書『カント入門』の著者による待望の新訳!下巻巻末に訳者による解説「ある哲学書の物語」(遺稿)を付録。
目次
第2部 超越論的論理学(続)(超越論的弁証論)
2 超越論的方法論(純粋理性の訓育;純粋理性のカノン「規範」;純粋理性の建築術;純粋理性の歴史)
著者等紹介
石川文康[イシカワフミヤス]
1946年、北海道生まれ。同志社大学大学院博士課程修了。ハイデルベルク大学、ボン大学に留学。ミュンヘン大学、トリアー大学にて客員研究。東北学院大学教授、日本カント協会役員を歴任。専攻はカントを中心とする近世ヨーロッパ哲学。哲学博士(Dr.phil.)。2013年2月没(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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壱萬参仟縁
21
すべての 反論(傍点)は、 独断的、批判的、懐疑的(傍点) に分類できる(82頁)。 知性の概念を完全に規定するために、 知性の根底にありうる何かを前提 するのは、理性の切実な欲求である (270頁)。 感性が知性にとって対象になるように、 知性は理性にとって対象となる。 すべての可能的・経験的な知性作用 の統一を体系化することは、 理性の仕事である(339頁)。 概念による直接総合的な命題は ドグマ(傍点)。 概念の構成による命題は マテマ(傍点、398頁)。 2014/06/06
湿原
13
『純粋理性批判』は2度目の通読である。石川訳本書下巻は題名の通り、理性批判が主な内容である。人間の理性は思っているほど優れた能力ではない。「最初は理性は、認識を経験のあらゆる限界のかなたへ拡張することを約束するかに見えた。が、われわれが理性を正しく理解すれば、それは統制的原理しか含んでいない。この原理はたしかに、経験的な知性使用が達しうるよりも大きな統一を要求する。しかしこの原理はまさに、知性使用が接近しようとする目標を遠くへずらすことによって、知性使用が体系的統一によって自己自身と脈絡をなすことを、最高2025/01/17
hitotoseno
4
感性と知性の関係性をあざやかに整理したカントはいよいよ理性が起こしてしまう誤謬を扱う。が、アンチノミーについては、あらゆるカント研究者が指摘している通りあまり説得的でない証明をもってしか誤謬を整理できていない。とはいえ基本的にカントは正しい。我々は世界の始原について確たる認識を持てはしないし、限定的な意味での自由しか与えられていないし、絶対的な原因(神)を頼ることも出来ない。だからといって思考を止めることは許されない。理念の統整に従いながら、どこまでも認識を高めていく必要があるのだ。2015/10/23
猫犬@🐱🐶🐺
3
『さまざまな人種について』(2)―ア)部類の概念について 『人種概念の規定』においては、欧米人、インド人、黒人、アメリカ原住民の各々を部類と呼ぶ。一つの動物類にいおいて遺伝的な「自然的特徴」だけがその類における部類区別に資格がある。そしてこの部類がどのように考えられるかによってある種あるいは種族(変種)となる。たとえば、狼・狐・ハイエナ・飼い犬な四足動物の部類である。その各々が別々の主幹系統に属すると考えるならば、それらは種であるが、それらが一つの主幹から発生し得たと認めるならば「種族」である。2025/02/08
スミレ雲
1
とてもむつかしい本。でも、なんか接続詞が上手に使われていたのか、論理的には読みやすかった。カントの本を買って、読んだのは初めて。近代哲学の集大成的な評判があるけど、正直、理解は全然。また、再読したくなったら、読もうと思う。2015/10/11
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