• ポイントキャンペーン

ありえないことが現実になるとき―賢明な破局論にむけて

  • ただいまウェブストアではご注文を受け付けておりません。
  • サイズ B6判/ページ数 233p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784480847232
  • NDC分類 369.3
  • Cコード C0036

出版社内容情報

現代社会において想定外の災害の到来を引き受ける予防原則を、ノイマンやサヴェッジ、ロールズやハンス・ヨナスを検討しながら提唱する。新しいリスク論の誕生。

内容説明

“想定外”はなぜ起きるのか。大惨事を回避するために今、わたしたちに必要な思考のプロトコル。

目次

第1部 リスクと運命(特異な視点;迂回、逆生産性、倫理;運命、リスク、責任;技術の自立;係争中の破局論)
第2部 経済学的合理主義の限界(予防―リスクと不確実性との間で;無知のヴェールと道徳的運;知ることと信じることは同じではない)
第3部 道徳哲学の困難、欠くことのできない形而上学(未来の記憶;未来を変えるために未来を予言する(ヨナに対するヨナス)
投企の時間と歴史の時間
破局論の合理性)

著者等紹介

デュピュイ,ジャン=ピエール[デュピュイ,ジャンピエール][Dupuy,Jean‐Pierre]
1941年フランス生まれ。哲学者。理工科学校名誉教授(社会哲学・政治哲学)、スタンフォード大学教授(哲学・文学・政治科学)。フランス放射線防護原子力安全研究所(IRSN)倫理委員会委員長、イミタチオ財団研究主任。理工科学校および国立高等鉱業学校の出身。2011年、ロジェ・カイヨワ賞受賞

桑田光平[クワダコウヘイ]
1974年生まれ。東京大学大学院人文社会系研究科博士課程満期退学、パリ第4大学博士課程修了(文学博士)。現在、東京外国語大学大学院総合国際学研究院専任講師。専門は20世紀フランス文学・文化

本田貴久[ホンダタカヒサ]
1975年生まれ。東京大学大学院人文社会系研究科博士課程修了(文学博士)。現在、中央大学経済学部准教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

この商品が入っている本棚

1 ~ 1件/全1件

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

NO MORE MR.NICE GUY

7
破局が来ることを「知っている」のに「信じる」ことができない。破局の予言が真であっても、それを信じて回避すれば破局は偽となるが、信じずに破局が訪れてからでは後の祭りである。このパラドクスを解決するために、著者はハンス・ヨナスの示唆を得ながら新たな時間に関する形而上学を創り出す。新たな時間性の形而上学は破局を手触りのあるものにする。その時間とは「投企の時間」である。「投企の時間は、過去と未来を、キャッチボールする二つの分身のようにしつつ、自分自身へと解釈学的に閉じようとするループに陥れる(→)2014/09/01

壱萬参仟縁

3
3.11で、人類社会の破局を実感せざるを得ない昨今、過疎地の賢い撤退論と近い、賢明な破局とは何か、考えさせられる。リスクをどう考えるか。原発事故そのものや、これを収束宣言してしまうというリスクある最高責任者の言説。評者はこうした現実を前に、次の選挙も投票したい候補が不在で、民主主義や一票の価値を巡る選挙制度の危機、リスクを感じる。リスク概念も通用しないとなると、何を使って社会の危機を把握すべきか。自分の目で確かめにくい事象が多いが、なんとか生き延びる術を破局後に考えるしかない。2012/10/23

なさぎ

2
数年前に難しすぎて挫折したきりだったんだけれど、今回ようやく読み通すことができた。特に、因果的/反実仮想的な二項対立が自分の中で整理できたことがよかった。——賢明な破局論の鍵概念となる「投企の時間」は、よくある多世界解釈としての時間軸なんかとは全く異なっていて、それがとてもエキサイティング。ただこの「投企の時間」、テッド・チャン『あなたの人生の物語』に全く同じ発想が登場したような……本書の原書は2002年のものなので、チャンの方が4年早い。SF作家が哲学者を超えることもある。2023/08/05

Mealla0v0

2
重要なことは、「ありえないことが現実に起こったというよりも、むしろ、ありえないことのなかにありうることが闖入したということである」(p.10)。デュピュイの達見は、破局とは可能体と現実の同時到来だと見抜いたことだろう。原因があって結果がある、と思いがちだが、結果が起こってその原因が特定されるという形でそれ自身も結果とともに生起するというのだ。つまり、破局は起こらないでいることもできる。だが、起こるかもしれない。この宙吊りを思考することこそ、「賢明な破局論」の態度となろう。2017/09/26

ぷるぷる

1
「不幸は我々の宿命であるが、それは人間がそこに自分の行為の帰結を認めない限りにおいてのみそうなのだ」…と言われて首を傾げて数秒間考えて納得するという部分が多い難しい本。起こるであろうことに対して無関心よりは、先取りの後悔の方がマシという言葉がちょっと心に響いた。一番ピンときたのは著者の形而上学は「破局後の時間に自己を投げ入れ、そこに必然的であると同時に起こり得ない出来事を同時に回顧的に見る」という部分。矛盾してるが過去を見つめなおさないと「ありえないこと」はその存在すら考えられないというのは分かる。 2013/01/12

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/4919941
  • ご注意事項

最近チェックした商品