内容説明
偉大な二人の哲学者の生涯ただ一度の出会い―灼熱した言葉の応酬…そして火かき棒が一閃する。両者の間に横たわる深淵を探りながら、二十世紀中欧の知識人を襲った過酷な運命の軌跡をたどる。
目次
「火かき棒事件」
くいちがう証言
ウィトゲンシュタインの魔力
魔法つかいの弟子たち
第三の男、バートランド・ラッセル
ケンブリッジ大学哲学科
ウィーンという都市
ウィトゲンシュタイン宮殿のコンサート
かつてユダヤ人として
ポパー、『わが闘争』を読む
少しだけユダヤ人
ルキ坊やの活躍
哲学者シュリック、ウィーンに死す
ポパーとウィーン学団の関係
燃えあがる松明のような男、ポパー
裕福で哀れな少年、ウィトゲンシュタイン
学問界でキャリアを築く
哲学的パズルという「謎」
H3号室で問題になったこと
「悪しき哲学者」対「大嫌いなテーマ」
「火かき棒事件」の夜を再現すると
真相解明に挑む
すべてのものに栄光を
著者等紹介
二木麻里[フタキマリ]
1960年生まれ。上智大学外国語学部卒業。翻訳者・編集者。学問・芸術案内サイト「アリアドネ」主宰(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
魚京童!
11
偉大な人間は、おかすあやまちも大きい2015/02/28
Hiro
3
ラッセルの跡を継ぐ偉大な哲学者2人が対決した1946年10月の会合を軸に、2人の生い立ちと思想と人柄を語り、同時に20世紀哲学界の動向、ヨーロッパの戦争、ユダヤ人問題などにも広く目配りした、一種の哲学物語。難しい哲学の記述よりも両大戦時のヨーロッパ、殊にウィーンやドイツの社会状況と2人を含むユダヤ人の処遇の変化が描かれていて興味深い。それにウィトゲンシュタインの家柄と人脈の凄さにも驚く。ただいつも思うのはどうしてこう周辺ばかり面白がるのかという自己反省。本来読むべきは本丸の、2人の主著であるべきなのに。2024/02/17
脳疣沼
3
別にたいした議論じゃないではないか!と思ってしまう。もちろん、そこに至るまでの過程を追えば、重要な事件であることは理解できるが、読む前に抱いていたワクワク感が裏切られた気分。ポパーとウィトゲンシュタインの簡単な伝記、哲学紹介のような本で、いかにもテレビ屋が作りましたと言った感じである。面白い話に仕立てようという意気込みが透けて見えて嫌。NHKのドキュメンタリー本と全く同じ。2017/10/17
よく読む
3
13:36 研究室にて読了。哲学書ではなく評伝。二人の人格、家柄、特にナチス政権を主眼においた時代背景、友人やウィーン学団との関係、哲学に対する考え方など縦横無尽に語られる。ポパーはブルジョア階級に生まれ、頼みがなくも努力しつつウィトゲンシュタインを敵とみなし、後に勲章を獲得するようになる一方、ウィトゲンシュタインはヨーロッパで上位に入る宮殿から生まれ、勲章などとることがなく、会う人々に人格や人生を変えるような影響を与えつつ、天才と呼ばれ続けた。2013/10/24
ours
3
ポパーとウィトゲンシュタイン。20世紀の哲学界を代表する二人の天才の考え方・生き方の違いを、当時の歴史的背景を交えて、わかりやすく解説してくれる良書。タイトルと冊子の厚さから、難解な哲学の解説書かと思いきや、寧ろ内容は伝記やドキュメンタリーに近く、非常に読み進めやすい。2011/06/27
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